差出人: Masayuki Nakamura <masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp>
送信日時: 2013年2月3日日曜日 7:19
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 勝利湯(広島市南区宇品御幸)

ナカムラです。

今日(12/24)は、「勝利湯(広島市南区宇品御幸)」に行ってきました。 宇品二丁目駅(広島電気鉄道宇品線)から、0.2キロ、2分くらいです。

小倉のホテルを出て、青線地帯だった京町飲食店街に向かう。京都の五條楽園が摘発された頃、や はりここも摘発された。怪し気なスナックが密集していた一角は、全て取り払われ、広い駐車場に 変わっていた。

しかし、端っこに今は使われていない複数の小扉がある建物があった。今も現役の風俗店として使 われている。ファインダーをのぞいていると、運悪くご出勤の嬢とはち合わせ。すぐさま店からボ ーイが飛び出てきて、詰め寄られる。

無理していた頃は、こういうこともままあったけど、最近は久し振りだなと、妙な感慨に浸る。

小倉駅からは、初めて乗る九州新幹線”さくら”。4列シート! ゆったりしているのに驚きながら 広島に移動する。広島市街は、市電に乗り換え少し南に下った所にある。東京と違って、車窓から の川と橋が美しい。

繁華なアーケード街の散策を終え、原爆の痕跡を今に伝える現役銭湯、勝利湯へ。市電の枝線、宇 品港行に乗って行く。

同湯は、コンクリ煙突を有する昭和初期築の洋風のファッサードのレトロ銭湯だ。爆心地にさほど 近くはない。しかし、近くの旧軍の煉瓦建物を引継ぐ広島市郷土資料館の屋根の構造材は、上空で 600メートル爆裂した原爆の爆風で折れ曲がっている。同湯も爆風で木造の建物が傾いた。その建 物に綱を掛け、引き起こしたという。男女境の鏡に原爆の痕跡が残る。

14:00から17:00の、1日3時間だけの営業。古いけど、全てが清潔だ。最も尊い姿勢で営業が続い ている。

アーチ型に窪んだエントランス。ハの字型に置かれた男・女湯のドアを開ければ、脱衣所とは独立 した下足箱(錠は板鍵のツルカメ錠)を置くガラス張りの空間がある。寒冷地の銭湯で、似た構造 を見ることができる。高く端正な板張りの番台とともに、同湯の最も特徴的な部分だ。

脱衣所は、幅3間弱、奥行3間ほどの空間。外壁側全面におしどり錠(錠は板鍵のおしどり錠)の オール木製が並ぶ。その他、旧型のマッサージ機、日本度量衡のアナログ体重計があるくらい。広々 とした空間がある。

浴室は、幅3間弱、奥行5間ほどと細長い。両サイドの各10機のカランに挟まれた、大きな小判柄 のセンター浴槽。深浅2槽に仕切られ、手前の浅槽は広島銭湯独特の内側三段造りになっている。

ガラスブロックを通して、濛々とした湯気の中、陽光が差し込む明るい空間。この空間を終始ひと りじめ。ただ、隣の駐車場に住宅の新築工事が行われている。明るさが、以前の半分ほどになって しまった。

15:45に入って16:45に出るまで、ほとんど小生だけ。そして、今日の閉店時刻は、小生たちが上 がった、16:45だった。1日の営業時間は3時間にも満たない。決まった少数の客だけが来るという のが、普段の姿なのだろう。

遙々の再訪に足る、気品ある郷愁銭湯だった。

さて、今日はクリスマスイブ。瀬戸内海は魚が旨い。ということで、繁華街八丁堀の生け簀のある 居酒屋”魚鮮水産”へ。地魚の四点盛りを頼んだら、サーモンが混じっている。瀬戸内海でサーモ ンが獲れるのか。。。暫くして気が付いた。東京にも多く出店している”はなの舞”がやっている店 だった。

広島は当たり前だけど、実に都会だ。

《前回訪問:2009.07.18.》

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
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