差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2009年11月28日土曜日 0:05
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件名: 高砂乃湯(群馬県みどり市大間々町)

ナカムラです。

今日(11/21)は、「高砂乃湯(群馬県みどり市大間々町)」に行ってきました。 大間々駅(わたらせ渓谷鉄道)から、0.4キロ、5分くらいです。

浅草駅発、東武の特急りょうもう号で相老駅まで。そこから、わたらせ渓谷鉄道に乗り換え、 トロッコ列車で足尾駅まで観光列車の旅。紅葉が見頃で綺麗だけど、寒風吹き抜けるトロッコ 列車の旅は季節的に限界かな。。。

足尾の町を散策した後、通洞駅から大間々駅までの帰路は、暖房の効いた普通の車両に席を取 った。

寒かったけど、紅葉の渡瀬渓谷、神戸(ごうど)駅や足尾駅の昭和初期築の清貧な雰囲気の駅 舎、旧古河鉱業の掛水倶楽部や社宅群などはそこそこ見応えがあった。

さて、夕方になって銭湯も見頃の時刻。寒くもなってきたので、大間々一のレトロ銭湯の千代 乃湯をチラ見した後、近くの高砂乃湯へ。

去年の6月に、隣湯の千代乃湯を訪れた時に、高砂乃湯の内外観を見せて頂き、大将と去年1 2月までに再訪すると約束していた。ちょっと遅くなったものの、やっと入りに来ることがで きた。

絹織物で栄えた大間々。昭和初期に建てられた煉瓦風の旧銀行建物など文化財級の建物が残っ ている。同湯もその町の中心部にある。銀色の湯井型煙突を持つ伝統的木造銭湯は、敷地内の 稲荷社に刻まれた年から昭和2年築と推定されている。

エントランスには、藤棚のようなものがあって、ファッサードはよく確認できない。男女別々 の入り口に「高砂乃湯」と白く染め抜かれた紺地の暖簾が、凛々しく下がっている。稲荷社と 相俟って雰囲気のあるアプローチと言っていい。

両開きの扉をガラガラと開ければ、番台とコンクリのタタキ。タタキが広いのと段差なく脱衣 所が広がっているのが印象的だ。木組の番台の女将に360円を支払う。

番台の反対側には指物師が手がけたようなオール木製錠の下足箱がある。しかし、相方の見立 てでは東京蒲田の「宝工芸社」なる銘番が打ちつけられていたという。この古い木製錠を横須 賀市佐野・松の湯、弘明寺・別府温泉(廃業)、新大塚・大正湯(廃業)など、いくつか見ては いるものの、同じ会社の製品だという可能性を考えたことはなかった。

松竹錠、さくら錠、富士錠などの金属製ではなく、木製の銭湯錠前の業者が存在したのかも知 れない。そして、みんな京浜工業地帯が生産地・・・。

脱衣所の広さは、幅2間、奥行4間ほど。男女境センター寄りに細いサウナ室の張り出しがあ る。2階はないもののライトグリーンのペンキ塗りの板張りの天井高は1間と2/3くらいと高 くはない。ロッカーはなく脱衣籠があるのみ。

アナログ体重計は、YOKOYAMA SCALEという初めて遭遇するもの。旧型マッサージ機も東京など で見かけフジ医療機のものとは異なるややスマートなタイプだ。ドライヤーは20円。コイン 投入口は男湯にしかないようで、女湯で使う際には番台の女将に頼むことになる。

古いけど、雰囲気を壊さない程度に、程良く手が入れられている。スチームサウナが無料とい うこともあるのだろう、客の入りは悪くない。

浴室は、幅2間、奥行3間ほど。天井は2段型。しかし、船底型の高天井が強化ガラスで透明 になっている。整備された銀色の油井型煙突が、群青の夕空に溶け込んで行くのが見える。田 舎の銭湯ながら見たこともない出色の設備にして、かなり凝った演出だと思う。評価ウナギ登 り。。。

浴槽は、中央で、男女境に接して大小2つ。大が2穴ジェット×2で43.5度くらい。小がバイ ブラで44度くらい。薪焚きのお湯は清澄極まりないものだけど、水道か井戸か判別しかねるも のの、やや硬度の高い水のようだ。近くに醤油醸造所や酒蔵もある。水が悪い訳はないので、 そういうことなのだろう。

浴室全体が清潔だ。カランは外壁側に7、奥壁に3。「宝」マークのレバー式のカランが使われ ている。

同湯では、浴室空間におけるペンキ絵の重要性をよくご存知で、奥壁に地元大間々・高津戸峡 の渓谷に架かるつり橋が濃い色彩で描かれている。

素人のものではない。そう思ったけど、同湯のご主人の手によるものという。もちろん、中島 さんや丸山さんのレベルではないものの銭湯背景画としてかなりの出来映えといっていいだろ う。展望天井の作り込みといい、オトロシイ親父だ。さらに、女湯のペンキ絵は同湯の息子さ んが描いているという。これも親父の薫陶のなせる業か・・・。

上がりは、桐生の赤提灯に繰り出す前に森永の瓶牛乳110円を頂いた。

天気は下り坂。夕暮れとともにかなり冷え込んできた土曜日の夕方、16:50から17:50、スチー ムサウナにもじっくり浸かり1時間ほど滞在した。相客は6、7人ほど。

寒いからか、まだ夕方なのに街には人通りがない。トロッコ列車の発着駅の大間駅も観光客が 一切いないと趣が異なる。

そんな普通の田舎駅から気動車に揺られて桐生に向かった。そして、客の入りを確認して「や きとり」という赤提灯が下がる店に入った。地酒「赤城山」の燗酒は少し薄い感じの酒だった けど、みそも選べる焼き鳥他は、値段も安く満足いくものだった。そして、少し、飲み過ぎた。。。

《前回訪問:2008.6.21.》 〜未入浴

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神戸駅





足尾駅


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千代乃湯