差出人: Masayuki Nakamura
送信日時: 2010年12月8日水曜日 22:03
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 富来浴場(荒川区西日暮里)

ナカムラです。

今日(12/4)は、「富来浴場(荒川区西日暮里)」に行ってきました。西日暮里駅(山手線)から、0.2キロ、2分くらいです。

今日は、世田谷美術館の企画で、写真家・飯田鉄氏と町歩き。テーマは「神田」で、町田忍さんや、平島勲氏などで各講師2回づつ計6回におよぶ講座になっている。今日は単発で参加させていただいた。

2時間半ほど無休憩で歩き、最後はガード下の「大越」で一杯やって散会となった。

若い時分から飯田氏の街の風景写真に惹かれていた。森山大道氏の感情剥き出しの写真でもなく、荒木経惟氏の情緒過多の風景とも違う。微かにウェットな感覚を持つ静かな静かな街の風景写真だ。

同氏の写真に惹かれるだけあって、一緒に歩くと見ている物というか、視点が似ていると感じる部分があった。もっとも手だれの表現者、アウトプットは足下にも及ばないのだけれど。。。

また、氏は写真家というだけでなく、写真のレンズに対する造詣が深く、その道の第一人者だ。一杯やりながら、街という被写体の話だけではなく、カメラやレンズについての興味深い話をいくつも聞くことができた。

雑踏を歩く時間ばかりだったので、予想よりも消耗した。行き先を協議し、疲れをほぐすために富来浴場へ転進する。。。

西日暮里駅から近く、道灌山通りからも「とぎ湯」と書かれたコンクリの煙突が見える。

ファッサードが大々的に増改築されているため、前に立っても分かりにくいけど、千鳥破風の天辺が増築部から顔を出している。

前庭を潰して増築するとともに、天井の高い脱衣所に床を張って、二階建ての構造にしたと想像される。

浴室を含め以降はオリジナル。2段型の天井の広い空間がある。そこにセンター浴槽と早川さんのペンキ絵。5年を経過したけど、湯気を通して見るためという濃い色使い、早川調の「富士川(平成十七年十一月十二日)」は鮮やかさを保っている。

初訪時は気がつかなかったけど、女湯のペンキ絵は「西伊豆」。男湯と同様に「富士山」がある。

不自然な「ダブル富士」を自ら描くことはないと思う。富来浴場の要請なんだろうけど、プロ魂の発露として、敢えて二つの富士の色調を変えている。連れに指摘されるまで、色調の違いまでは気が付かなかった。。。

プロの意地が、早川さんの意地が、富来浴場のペンキ絵の色合いに込められている。

《前回訪問:2009.05.22》

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
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ガード下の「次郎長寿司」に強く惹かれた。。。