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差出人: Masayuki Nakamura <masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp>
送信日時: 2013年5月23日木曜日 23:04
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 富山湯(江東区亀戸)

ナカムラです。

今日(5/3)は、「富山湯(江東区亀戸)」に行ってきました。 大島駅(都営新宿線)から、1.0キロ、12分くらいです。

憲法記念日。新橋、有楽町、日比谷界隈は、各方面の機動隊が集結して物々しい警備が敷かれてい る。そんな中を、右翼の街宣車が機動隊に向かって”バキャァロー””オマエラ税金の無駄遣いだ!” と大音量で叫んでいる。ちょっと、よく見る街宣運動とは違った感じだった。

そんな中、有楽町マリオンで「舟を編む」という国語辞典編纂をモチーフにした2時間半もの長い 映画を観る。松田優作の息子を初めて見た。見終わるまで知らなかったけど、普通に俳優でほっと する。

久し振りの映画鑑賞後、神保町駅経由で大島駅へ。昨日に続いて、江東区亀戸地域の銭湯に向かう。 この辺りは風景が単調で、多少の殺伐感もあって歩いていて楽しくない。夜なので多少心細さを感 じるほど。

堅川大橋を渡れば同湯は近い。隅田川と旧中川を結ぶ運河の堅川(暗渠)の畔にあり、かつては、 同湯の裏に運搬船がもやっていた。付近には今でも運輸会社が多い。

後方に油井型の煙突が見える。ファッサードは簡素というかチープ。脱衣所棟の切妻にはトタンが 打ち付けられ、それにモルタルのエントランス&コインランドリーの簡素な構造が付随する。

戦前からの銭湯らしい。戦災に遭ったため、現在の建物は戦後の建物とのこと。昭和38年の航空写 真に現在と同様の建物がはっきりと写っている。戦後すぐからの建物がベースと推測するがどうな のだろうか。

2段ほど昇った入口には、江東区銭湯の紺地の暖簾が擦り切れた姿で下がっている。光を発する看 板の類はないけど、ガラスブロックが積まれた両脇に朱書きの「ゆ」と、これ以上は書けないよう な大きさで記されている。銭湯は、住宅地などで辺りが暗くなって来ると存在が浮かび上がってく る。昼はその存在に気が付かずに通り過ぎてしまうようなものだけど、これなら昼でも存分に広告 効果を発揮するだろう。コストもさほどかからない。

エントランスは狭い。正面には余貴美子と三浦友和主演の富山地方鉄道を描いた「RailWays」のポ スターがあって、三浦友和の顔の上に不自然に連休中の休業日が小さく張ってある。

相当数の旧型さくら錠の下足箱が、男女それぞれL字型に並ぶ。回りは煤けた古い木目プリントの 新建材で囲まれている。高度成長期に改装し、そのまま年月を経ているという感じがする。

目隠しの奥のアルミサッシの扉を開ければ、前後を反対にし、左右の視界を遮った、高さのない” 番台”。愛想のない方が詰めているという噂を聞いていたけど、孫娘というくらいの、朗らかな若い 人が詰めている。

脱衣所の広さは、幅3間、奥行2間半と小振り。天井は素っ気ない白い石膏ボード。壁という壁は、 エントランスと同じように、煤けた古い木目プリントの新建材で囲まれている。建物が傾かないよ うに、柱と柱の間には邪魔な筋交いが増設されている。

ロッカーは、外側にアルミ板鍵の旧型さくら錠のものが残っている。メインは島ロッカーが横置き で1つ。脱衣籠も積まれている。広くはない脱衣所なので残りのスペースも広くない。

男女境の上からはテレビの音が流れる。新型マッサージ機には建設関係の方が気持ち良さそうに居 眠りをしている。特に無駄な物はないけど、雑然とした雰囲気で充ちている。小生、これはこれで 嫌ではない。

その他、梁にはNationalの業務用扇風機、Hokutowのアナログ体重計などがある。

浴室は、幅3間、奥行4間くらい。足を踏み入れた瞬間、釜場へ通じる板戸の古さにに目が止まる。 天井は年期の入った木板にペンキ塗り。塗り重ねられたペンキが襞のように積みあがっている。

島カランは1つで、カラン数はセンターから6・6・6・7。床のタイルは足触りのいいグレーの厚手 のもので、カラン廻りその他のタイルにも古いタイルは残っていない。

浴槽は奥壁に接して、薬湯のさくら湯42度位と、7点座ジェット×2を含む主浴槽43度位。案外に 熱めの湯温設定。

ビジュアルは、奥壁に中島さんの手による、仰ぎ見る立山連峰を背景にライトレールが走る姿を描 くペンキ絵。立山連峰は、独立峰の富士山よりも作品として仕上げるのは難しいようだ。先日、西 小山・東京浴場で見たものよりも遠近感を圧縮して描いているせいもあって山々のボリューム感が 強調されている。迫力のある立山の絵だった。

さらに、男女境には茜空の中に槍ヶ岳のような急峻な山を描いたモザイクタイル絵がある。日本ア ルプスということも夕景ということも珍しい。そして、プリントなのかも知れないけど、ペンキ絵 の下の浴槽との間に、中判のタイルにしどけない女性を描いた小さなタイル絵が3枚ちりばめられ ていた。男と女の色々なストーリーが想い起こされる不思議な絵だった。

3連休初日の金曜日の20:00から20:55に滞在。相客は10人くらい。入った時間が遅かったのでお 湯があまりきれいではなかったのが残念だったけど、瓶牛乳を飲みながら脱衣所の丸椅子に座って いると、イニシエへの郷愁を強く感じた。古いという意味できれいではないけど、だからこそ気に なる銭湯で、足をのばして良かった。

上がりの一杯は、昨日に引き続き駅前の飲食店ビルに入る塚田農場のフランチャイズの「じとっこ 組合」。何回かこのチェーンに入っているけど、ビジュアルがそこそこいい短パンの若い娘をホール に配置。接客もかなり鍛えられている感じがする。味も悪くない。

しかし、小岩もそうだったけど、江東エリアは喫煙率が高いのか、たばこの煙が濃すぎて落ち着か ない。神奈川県のように条例で飲食店を分煙を定めてくれないかなと思う。。。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
メイン:masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp  
URL: http://furoyanoentotsu.com(風呂屋の煙突)
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     この映画を初日に観たけど、数人しか客が入っていなかった。。。
















                                暗渠化されている堅川




                                    堅川大橋




        駅前の飲食店ビル。昨日は4階、今日は2階。。。