差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2008年5月11日日曜日 14:41
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 長寿湯(大垣市南切石町)


ナカムラです。

今日(5/4)は、「長寿湯(大垣市南切石町)」に行ってきました。 大垣駅(東海道本線)から、1.8キロ、20分くらいです。

第一目的地は駅裏の「門間湯(林町)」。2年前に訪れた時は、閉店時刻が繰り上がっていて入 れなかった。満を持しての再訪だったけど、電話が不通になっていたので嫌な予感はしていた けど、案の定、燃料高騰のため去年の8月末で廃業しましたとの張り紙がある。前回入った「喜楽湯(郭町)」も去年の7月に廃業した由。銭湯が多い水都大垣の銭湯も厳しさを増している。

予定を変更して長寿湯に向かう。タクシーで銭湯名を言っても「南切石」と言っても要領を得 ない。手元にあるのは「iタウンページ」をプリントしたラフな地図だけ。一度訪れているの で近くに行けば分かると思っていたけど、不運にも「北切石」で降ろされたようだ。「夕暮れ時 の15分」に間に合うように、昨日に引き続き10キロの荷物を担ぎながら走り回る。

最良の時間を逃した焦りとともに撮影を進めていると、遠慮がちに話しかけてくる青年がいる。 何と「ナカムラさんですか?」と。小生の『風呂屋の煙突』を見ている方らしい。でも、何で 分かるの・・・。話しかけた当の彼の方が、驚きとともに鳥肌が立つと興奮してた。別に銭湯 ファンというわけではない地元大垣の人。ここで遭遇する確率はほとんどセロに近かったと思 う。不思議なものだ。

長寿湯は、昭和6年か7年の建物。朱泥塗りの壁に黒瓦という気品ある佇まい。小さいながら もコンクリの門と塀がある。

のれんをかき分けて中に入るとコンクリのタタキに大振りの番台がある。板張りながら前面が カーブした造りで脚部の見切り材に黄緑色の3センチ角のタイルが使われている。さり気ない けど、かなりお洒落な番台だと言っていい。

脱衣所も上質なレトロ空間が広がっている。広さは幅2間と1/4、奥行は余裕あるコンクリの タタキ部分を入れて4間ほど。男女境中央の柱、格天井、2階へ上がる階段。いずれの材料を 見ても高級な物が使われている。

ロッカーは壁側にあって、錠は下足箱と同様にKing錠。アナログ体重計は「GOSHIM A SCALE」とうう初めて遭遇するブランドだった。2階に通じる階段がある。その下に も5つほどのロッカーがあって、「い」「ろ」「は」・・・と文字が割り振られている。錠は開け るときに鍵棒を番台で借りて開ける古風な造り。この部分のロッカーはオリジナルなのだろう。

その他、脱衣籠、冷蔵庫、旧型マッサージ機、木製の身長計測器などがある。同湯の番台の前 には白い犬が猫のように丸まって寝転がっている。ずっと身じろぎもしない。脱衣所の雰囲気 はややまったりとしているけど、この雰囲気は、ただ寝てるだけの猫のような犬が演出してい るようだ。

浴室は、幅2間と1/4、奥行4間ほど。天井は四角錘でセンターに大きな湯気抜きがさらに角 度を鋭角に変えてまた四角錘型に伸びている。四角錘の二重構造は初めての遭遇だ。そして、 男女境にタイル張りの丸柱2本が天井を支えている。

浴槽は2つ。いずれも男女境に接していて、中央部に1穴ジェット×2とバイブラの主浴槽。 副浴槽は、奥壁に接するかたちで、デンキとじっこうの薬湯になっている。デンキは隣の薬湯 に浸かっていても感じるほどの強さ。怖いもの見たさで入ってみると、やはりガンガンとくる 強烈なものだった。

ビジュアルは奥壁に中島師のペンキ絵がシールに印刷されたものが張られている。銭湯ファン は本物ではないので残念に思うだろうけど、普通の客は本物かどうかなんか気にしないだろう から、この「印刷」が浴場空間に潤いを与えているのは間違いない。これを張るというのも、 ひとつの見識だと思う。

上がりは、猫のような犬の傍らで、久しぶりにコーラを頂く。犬はやはり身じろぎもしない・・・。 本当はデカい猫なのか・・・。

名古屋圏の銭湯はトイレが外にある。帰り際にお借りするが、小便器の周りの3方の壁が高級 なマジョリカタイルが贅沢に使われている。この銭湯、いったい何者なんだろう。

朝から活動して、昼食も取らず、電車の乗り継ぎ以外は立ちっぱなし。今日も、最後に荷物を 背負ってのランニングが加わった。限られた時間の中で見たいものが多すぎて、年々、旅が過 酷なものになっていく。事前にある程度情報が得られることで深い経験ができるものの、見失 っているものも多いという反省がある。

繊維産業で繁栄した大垣の町は、工場の撤退で相変わらず寂れている。かつて栄えただけに廃 墟も多い。 2年前に入った串焼き屋を目指したが休み。適当な居酒屋を探すのにも難儀する。結局、「韓国 村」という韓国料理店でマッコリ、冷麺、キムチ餃子で2050円。好みと異なる細いタイプの冷麺だったな。

《前回訪問:2006.05.03.》

*************************************************
ナカムラ (Masayuki Nakamura)
メイン:masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp  
URL: http://www7a.biglobe.ne.jp/~masayuki/ (風呂屋の煙突)
*************************************************