差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2010年11月13日土曜日 0:27
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件名: 梅の湯(桶川市南町)

ナカムラです。

今日(11/6)は、「梅の湯(桶川市南町)」に行ってきました。 桶川駅(高崎線)から、0.4キロ、4分くらいです。

大宮の北方に盆栽町という地名がある。関東大震災後に、谷中などにあったいくつもの盆栽屋 が郊外に移って出来た町だ。

そこに「さいたま市大宮盆栽美術館」なる美術館がある。新しい建屋と整備された庭に、目の 玉が飛び出るほど高価なんだろう盆栽の数々が並ぶ。

盆栽が日本文化の一端を担っているのか知らないけど、海外からの方も多かった。小さな鉢の 上に、日本的な「自然」が表現されている。しかし、小生が未だ盆栽をゆったりと愛でるほど には枯れていのかも知れない。盆栽の価値に比べ、感動が少なかったかも知れない。まぁ、少 し安心したり。。。

それと、高価な盆栽を警備するため、小さい庭で警備員たちが客に細々と注意を与えていて、 どこか落ち着かない雰囲気が残念だった。

さて、土呂駅(宇都宮線)から大宮駅に戻り、今度は高崎線で再度北上し、桶川駅に向かう。 桶川は中山道の宿場町。そこに大正時代築創業の、古豪・梅の湯が最後の一軒として湯を沸か している。

駅から旧中山道に向かう桶川の目抜き通り。古い建物も残り、老舗が並んでいるんだろうけど、 寂れた風景になっている。そんな道を少し折れれば、長い年月を感じさせる黒い油井型の煙突 が見えてくる。脱衣所建物やそれに続く浴舎も和風の下見板張り。ほとんど絶滅に瀕した出で 立ちで梅の湯は残っている。

増築なのか、通りに面した壁は白い新建材に替わっている。中央に屋号を記した看板があって、 その両側にアルミサッシの2つの扉。それぞれに暖簾が掛かる。開ければ半間四方のたたき。 右手に番台。左手に戦後に設置されたという旧型の松竹錠の下足箱がある。さほど高い番台で はないけど、そこそこ蹴上のあるタタキからなので、座っている大将はかなり高い位置に見え る。

埼玉県の風呂銭は410円。

脱衣所の広さは、幅2間、半間ほどのタタキを含めて奥行は2間半ほど。天井は平屋の建物な がら高くはない。天板は古く煤けた新建材に代わっている。しかし、床はオリジナルだろう。 数十年を経た風格のあるものだ。

ロッカーは中央に松竹アルミ板鍵の島ロッカーが1つ。狭い脱衣所に島ロッカーは大き過ぎて、 ロッカーを囲む狭い「通路」だけの脱衣所になってしまう。少し残念だ。籐の脱衣籠もいくつ か積まれていて、艶からして、今も現役で使われているようだ。

その他、Hokutowのアナログ体重計、ベンチがあるくらい。銭湯の小ささと客数に比べ、入口 脇のご常連の湯道具置き場が大きく、使われなくなって久しい桶などが沢山積まれている。よ く出くわす光景ではあるものの、イマイチな光景だと感じる。清潔ではないし、狭い脱衣所ス ペースがもったいない。

浴室の入口の上に「美と健康をつくる近代化浴場」という、銭湯の効用を高らかにうたった額 が掛かっている。昭和42年のもので、最後に「埼玉県公衆浴場業合理化相談所 代表理事 丸 山健吉」とある。

埼玉の浴場組合を組織化して、さらに浦和にある埼浴会館の建設に尽力した方だ。行田の銭湯 を振り出しに、最後は稲荷湯(浦和)など複数の銭湯の経営者だった。同湯横に銅像が建って いる。埼玉県の銭湯界の大立者といっていい。

浴室は、幅3間で奥行は4間ほど。天井は縦に木板を張った2段型。元々は2間四方の小さな 浴室だった。脱衣所を広くするため、浴室を半間ほどセットバックし、さらに浴室の奥行を約 2倍に延ばしている。古民家に見られる荒削りでたわんだ形の梁が、浴室中央に、男女湯を空 中に跨ぐようにある。かつては、この位置に奥壁があった。

島カランは、1辺が50センチ四方で、カラン数4機のものが中央に1つ。そのほか、男女境と 外壁側に7機ずつのカランがある。床のタイルは星形模様、カラン周りはサワーピンクの大理 石紋様のタイル。男女境はヨットハーバーの絵が、盛り上がるかたちで描かれた既成のもの。 いずれも昭和末期かそれ以降の、古くはないタイルが使われている。

浴槽は、奥壁に接するかたちで大型のものが1槽置かれている。但し、内部は白タイルが張ら れ3点ジェットの浅い部分と、紺色のタイルの深い部分に分かれている。深浅の間に仕切がな い構造に遭遇するのは初めて。最初は多少面食らったものの、浅い部分に腰かけて、堀炬燵の ように深い部分に足を垂らすのは快適だった。

水は浅井戸だけでは賄えず、時として水道水も使うようだ。焚き物は、大将一人で切り盛りし ている関係で重油を使っている。湯温は43.5度くらいか。多少、塩素がきつく、上がっても暫 くはその匂いが消えなかった。

上がりは牛乳を2本求めて、1本は女湯の相方に回してもらった。小さい銭湯では飲料の冷蔵 庫が男湯だけというところが多い。

帰りにトイレをお借りした。トイレの周りにはいろんなスイッチ類が固まっている。トイレの 電灯を点けようとして、脱衣所や看板などの明かりを点けたり消したりしてしまった。。。

上がりの一杯は、大宮に戻り「Vino」というカジュアルなレストランで夕食を頂いた。今回は コースを注文したけど、他にピザや焼きカレーなど気になるメニューも多い。大宮切ってのレ トロ銭湯、日進湯にも近い。今度、日進湯との組み合わせで訪れたい・・・。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
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