差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2008年2月3日日曜日 12:49
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 梅乃湯(台東区蔵前)

ナカムラです。

今日(2/2)は、「梅乃湯(台東区蔵前)」に行ってきました。 蔵前駅(都営浅草線)から、0.2キロ、2分くらいです。

今回は御徒町駅からアプローチ。御徒町駅の東側一帯に広がる「台東」「小島」「鳥越」といっ た、東京大空襲で焼けなかった非焼失地域を散歩しながら古い家並みを撮影する。

途中の佐竹商店街にあある「朝日寿司」というレトロな寿司屋に惹かれていて、今度こそはと 1年半ぶりに訪れたら、何と入口の真ん中に新しい飲料の自販機が設置されていた。最近廃業 したようだ。古い物が淘汰されるのは世の常だけど、訪れようとしている先が消えているのは こたえる。

結局、寿司とは何の関係もない「白根屋」という甘味処で休憩。甘味だけでなくラーメン40 0円、焼き肉定食550円という安さで、お婆さんや子連れの母子が、おやつにラーメンを食 べに来たりするようないい店だった。

「鳥越おかず横丁」を歩くのは20年振りか。以前よりも店が少なくなったものの、戦災で焼 けなかった関東大震災後の建物がいくつも残っていて見応えがあった。

さて、都営地下鉄の蔵前駅に向かう。墨田区・鐘ヶ淵の隅田湯の再訪とその隣の居酒屋・十一 屋をイメージしていたけど、夕方になって寒いのと疲れたので、蔵前の「梅の湯」で風呂休憩 する。思いのほか立派な面構えに敬意を表して。。。

正面はダブル千鳥破風の黒瓦。彩色された懸魚も付いている。薪焚きのようで、時折、コンク リ煙突から黒い煙が舞い上がる。なかなかの伝統的銭湯だ。

暖簾を潜ってのエントランススペースは案外に狭い。松竹錠の12番の下足箱にチビた靴を入 れる。番台への木製の戸は、取っ手が窪むように擦り減っている。昭和30年築の伝統的木造 銭湯。番台は材は高級というほどでもないようだけど、木組みのどっしりとしたものだ。

脱衣所の広さは幅3間半、奥行3間弱。天井は折上格天井。やや狭い脱衣所につき入口部の脇 に天井が低い張り出しスペースがある。一見していい雰囲気が感じられる。

ロッカーは島ロッカーと外壁側にロッカーがある。張り出しスペースの古いベンチの脇には脱 衣籠も積んである。大黒柱の柱時計は止まったままだけど、すべてがレトロで役者が揃ってい る。そして清潔。そここがこげ茶色に艶っぽく光っているのがいい。

浴室は、幅3間半、奥行3間と小振りだ。表の堂々とした姿からすれば意外。奥行きがないせ いか深浅2槽の浴槽が男女境に接してある。

男女境には溶岩が貼られていて岩風呂風。その両脇にはタイル絵。一枚は九谷鈴榮堂の福二の 銘のある松の絵柄のもの。もう一方は鈴榮堂のクレジットはあるものの落款は無く、川に帆船、 山の上には城という絵柄のもの。他のビジュアルは奥壁に早川師の西伊豆。男女境の上に富士 山があるもの。平成16年に描かれたものだけど、傷んではいない。いい浴室だ。

カランは島カランが1つと外壁側と奥壁側にある。シャワーもカランの湯もやや温かったけど、 浴槽のお湯はやや熱めの有馬の薬湯。浅槽にジェットがあって、深槽はバイブラ。寒い日に数 人の相客が風呂を楽しんでいる。

脱衣所も浴室も清潔で中型の居心地のいい空間。なんかすごく素敵な銭湯。脱衣所の窓も2段 型天井の浴室の高窓も木製の窓枠が維持されている。

古くから銭湯をやっていたけど戦災で焼けて、現在の建物は昭和30年築。昨年は台東区で2 軒の銭湯(ひさご湯、廿世紀浴場)が廃業したことが話題になっていた。常連客はやめないで くれよと。ご主人は、やめたくなくてもそのうち倒産だよと冗談にしてはきついことを仰って いた。

再訪すべき銭湯にリストアップされた優れた銭湯だった。

上がりは、押上あたりのレトロな居酒屋で一杯やるか、久し振りに浅草に行くか、迷って浅草 に出た。「大黒家天麩羅」で酒2合と板わさ。最後に独特の黒ずんだタレの天丼を頂いた。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
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URL: http://www7a.biglobe.ne.jp/~masayuki/ (風呂屋の煙突)
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台東


台東


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鳥越・おかず横丁


台東


鳥越・おかず横丁


鳥越・おかず横丁