差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2003年11月24日月曜日 21:52
宛先: 銭湯ML
件名: [sento-freak:04596] 若松湯(藤沢市辻堂新町)

ナカムラです。

今日(11/24)は、「若松湯(藤沢市辻堂新町)」に行ってきました。
辻堂には3軒の銭湯があり、いずれも駅から近くにあります。

今日は、「不動湯(辻堂元町)」か「若松湯」のいずれかに入ろうということで、寒い中、辻堂駅へ。
まずは南口の不動湯。同湯は辻堂元町商店街という、化石のような商店街を抜けた住宅地の中にありました。

小さいながらも破風屋根の入口。入口の前には松の木が斜めに生えている。
入口のガラス戸も何か趣きがあるし、脱衣所上のガラス窓は曇りがなく、中の格天井を見せている。
また、脱衣所屋根のてっぺんには洋館の飾り。
スキがなく、毅然としている、とても好ましい感じの銭湯。
また、下足箱をのぞくと富士錠であり、この銭湯がかなり古くからあることを窺わせている。

ここも駅から近いし、会社帰りにでも足を伸ばすかと考えながら、若松湯へ。
若松湯は、不動湯とは駅の反対側(北口)の辻堂新町商店街の中にあります。
駅からは不動湯と同じく5分程度です。

外観は変わっていて、レンガ塀に洋風切妻の入口。てっぺんには、不動湯と同じく、
洋館の屋根にあるペン先のような飾りが付いている。
また、入口の両側には「うだつ」風の庇がある。
しかし、これらのファッサードは新しく改造された感じ。

アルミサッシュの大戸を開けると、番台の背の部分に宝舟のタイル絵。
ハの字型に設置された引戸を開けると番台と下足箱。横須賀の小銭湯の趣きがある。
下足箱の錠は旧型のおしどり錠。ここもかなり古くからある銭湯の模様。
番台の背の上と、ハの字型の引き戸の上がガラスになっていて、独特の美しさと開放感を演出している。

女将はこの業界にしては若い感じ。番台前のテレビに夢中になっている。
入口の前には、多少透けて見える材で造られた衝立があり、それを回り込んで脱衣所に入る。

第一印象は「古色蒼然」。
脱衣所の広さは3間四方で、横須賀の小銭湯より幅がありゆったりしている。
天井は、低く、折上げはないけど格天井(7×10)。格子、天板ともに渋い茶色になっている。
男女境、壁側にあるオール木製ロッカー(おしどり錠)、棚等もみな渋いこげ茶色である。

頼めば貸してくれるのかな、ロッカーには鍵が付いていない。
先客はみな脱衣カゴを使っている。この脱衣かご、「政の湯(小田原市)」もそうだったけど、細い材で編んであって、一部破れたりしている。
いずれにしても、かなりの年季が入ったもの。

大きな木戸を開けると浴室。脱衣所と同じく3間四方の正方形。
脱衣所の古色蒼然さとは変わって、天井のペンキも綺麗だし、床を含め清潔度が高い。

島カランは1つで、カラン数はセンターから6・4・4・5。島カランは鏡もないプレーンなもの。センターのみシャワーが付いている。
浴室の幅が3間ほどあるので、カラン島はかなりゆったりとした配置になっている。
カランは日の丸扇の刻印のある取っ手に温泉マークがあるもの。
ただし、取っ手が取れているカランがちらほら。

外壁側に立ちシャワーブースがあるものの、シャワーが付いていない。
取っ手が十字クロス型なので、だいぶ古い設備の模様。

天井は、カマボコ型の天井に1メートル四方の正方形の湯気抜きの穴が開いている。
木造銭湯で2段型ではないのは、初めての遭遇かもしれない。
床は八角形タイルに、小さな緑の正方形タイルを組み合わせたもの。

湯船は新しく、深浅の2つ。縁は御影石のタイル。内側はブルーのタイルが張られて
いる。
焚き出し口から湯が出ている他は、何もない。静かな湯面である。
温度は深い方が43度くらい。浅い方はもう少し温度が低い感じ。

この銭湯の見所はタイル絵かな。
湯船の上には、額縁風に緑のタイルで囲まれた、縦6×横20枚のタイル絵。
「片瀬カラ江ノ島ヲ望ム」とある江ノ島の図。
銘は永草とあり、同じく篆書体で「永草」と書かれている四角い朱印が書かれている。

今年、江ノ島の灯台は建て替えられたけど、建て替え前のもの(昭和26年に戦前の落下傘の降下訓練用施設を移築)でもない。
先々代以前の灯台なのかな、普通の灯台に近いものが描かれている。

センターにも縦4×横8枚(?)のタイル絵が4幅(海・松・茅葺の家、海と富士山、赤い八角堂と橋、鷹)。
いずれも九谷の鈴栄堂で、1つ「胡山」の銘がある他に銘はなし。
鷹の図に書かれている鈴栄堂は、茄子の絵の中に鈴栄堂と書かれていた。初めての遭遇。

タイル絵、浴室の天井、採光のガラス窓とかなり特徴がある銭湯。
不動湯には入っていないけど、何やら辻堂の銭湯は、個性派揃いの感じがする。

たまたまかな、トイレが少し汚かったので注意しなければならないけど、銭湯通には訪れてほしい一湯と感じた。