差出人: Masayuki Nakamura
送信日時: 2006年7月23日日曜日 7:49
宛先: 銭湯ML
件名: 山の湯(滋賀県彦根市中央町)

ナカムラです。

今日(7/16)は、「山の湯(滋賀県彦根市中央町)」に行ってきました。
彦根駅(JR東海道本線)から、1.4キロ、20分くらいです。

夕方に、駅前のビジネスホテルに入って、ホテルの自転車で、旧市街へ向かう。

彦根市には、つい最近まで6軒の銭湯があったけど、ここ1〜2年でばたばたと廃業してしまった。趣きのある渋い銭湯が多かったようだ。残念だ。
とりあえず、建物が残っているかと、旧梅玉湯、旧巴湯、旧末広湯(駐車場)、旧彦根湯、天神湯(現役)と回って、銀座街という繁華街にある山の湯に浸かることにした。

銀座街のとある古ビルの中廊下を通ってアプローチする。ビル裏の路地に出て、そこには小振りの神社があって、少し広くなったその場所に、同湯がある。後方には、立派なコンクリの煙突が見える。

入母屋の入口棟も脱衣所棟も浴室棟も黒瓦。東京銭湯と比べても大型の部類に入るだろう。地方銭湯としては出色の規模といっていい。

暖簾を潜ると、靴脱ぎがあって下足箱。東京銭湯と基本的には同じ構造になっている。下足箱の錠は珍しい「SUPER」というもの。西大寺・柳湯で見たものと同じものだ。

夏ゆえ、番台への戸は開け放たれている。番台は、平格天井を組みたてたような、変った造りになっている。ご高齢の女将に370円を払う。

幅2間半、奥行3間程度の広さの脱衣所。天井は、さほどの材ではない感じだけど、渋い茶色の平格子天井になっている。

島ロッカーはなく、脱衣籠と、外壁側にロッカーがある。扉は更新されていて趣きはない。錠は「日之出」というもの。

脱衣所と浴室の間は、奥行き1間ほどの緩衝地帯になっていて、庭と流しになっている。この庭が変っている。庭石と石灯篭が置かれ、その間に池がある。その池が脱衣所の下にまで拡がっていて、その部分の脱衣所の床が透明のプラスチックになっている。つまり、「池の上に乗れる」構造になっている。大きなだけの地方銭湯ではなく、凝った趣向が織り込まれている。

浴室は、幅2間半、奥行4間。天井は四角錘の真中にやや大きな正方形の湯気抜きが開いている。
なんと、男女境が硝子ブロックで組まれている。それも腰から上というようなものではなく、浴槽の湯面の低い位置から硝子ブロックだ。女湯浴槽の湯の揺らぎが映っている。女性が向こうに立てば、ほぼ全身のシルエットが映るだろう。そういう土地がらなのか、凄い構造だ・・・。

カラン数は、男女境奥壁側(ここはさすがにタイル壁)に5、外壁側に7。湯道具を置く幅が石鹸箱の幅くらいしかなく、難儀する。カランは、「宝」マークのレバー式のもの。

浴槽の配置も変っている。緩衝地帯の中庭に接して主浴槽と、ジェトのみの浅槽が続いている。
そして、掛け湯槽か子供浴槽か、浴槽の真中に独立してくて小さな栗型の浴槽がある。

さらに、主浴槽と対角線上、奥壁と外壁に接するように扇形の薬湯槽がある。茶色の鉄泉のような薬湯で、香りも、肌触りも経験したことのない薬湯だ。

この薬湯槽の後ろには、濁っていて魚影が見にくいものの、水槽が設置されている。
歴史ある彦根の中心地にある銭湯。ここにも趣向がある。

上がりは、ペプシコーラを頂く。女将が扇風機のスイッチを入れてくれる。

同湯に入る前に、おそらく同湯のご主人と思しき人に、建物の築年数などを聞いたがご高齢で話しが通じなかった。営業時間も先月から21:30までと短くなったようだ。女将が一人で切り盛りしているのかも知れない。それにしては大きすぎるだろう。彦根の銭湯の担い手も高齢化し、何より少なくななってしまった。

日曜日の18:00から19:00滞在。相客は4、5人といったところ。
外に出ると雨が降っている。
再び、夜、雨降りの遊廓跡を散策して、自転車で、彦根駅前のホテルに戻る。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
URL: http://www7a.biglobe.ne.jp/~masayuki/ (風呂屋の煙突)
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銀座街。山の湯はこの一筋右奥の細い路地にある。


銀座街交差点


平和堂の1号店は彦根の銀座街だった。(この店舗かは未確認)


近江鉄道彦根駅