ナカムラです。

今日(2/15)は、「大和湯(足立区島根)」に行ってきました。 梅島駅(東武伊勢崎線)から旧日光街道を北に上がって1.1キロくらいです。

散髪をして、以前から気になっていた北大塚の末枯れ系の和洋中の食堂の「天平食堂」で昼飯を食べて散歩がてら向かう。

足立区島根。バブル期に保険会社の研修で歩いたことがある。古い住宅が多い印象が残っていたけど30年余り経つと、あそこは何処だったんだろうという感じだった。

梅島駅から旧日光街道を一直線に北上する。昭和22年の航空写真でその姿をはっきりと確認することが出来る。昭和11年の写真でも薄っすらと見えなくもない。旧日光街道に沿って水路が惹かれていたようだ。

戦前派の古豪銭湯。現在の建物は昭和32年築という。千鳥破風&唐破風の見事な建物。ガス焚きに変ったようで、裏に数メートルだけのコンクリ煙突が残されている。幅半分が母屋に食い込んだ珍しい造りになっている。

最初は通り過ぎてしまったくらい細い花道の奥にある。花道が石畳というのが老舗の証だろう。表には「草津湯 ハップ湯」という看板が立てられている。草津温泉浴剤製造所の緑がかった濃厚なハップ湯はなかなかのものだった。浴槽から離れたカランもみな黒くなっているほど強力な硫黄を含んでいる。

暖簾をくぐると正面に券売機がある。末枯れ系でややボロさをも感じるレトロ系なので意外感がある。松竹錠の木札が斜めに乗せられている。こんな演出は見たことないなぁ。

そして、ドアを開ければ皺深い大将が何とも言えない感じで緩く対応してくれる。券を受け取るだけだけど。

脱衣所の広さは幅4間弱、奥行4間弱。幅1間は増築だろうか。飴色の折り上げ格天井や床が見事。窓の桟も古いものが残っている。荒れてはいるものの濡れ縁を介した庭もさぞ凝ったものだったんだろう。体重計はKeihokuHakari、業務用扇風機はAsahi、黒い柱時計の文字盤が「故障」と書かれるでもなく無造作にガムテープで塞がれている。オレンジ色の旧型マッサージ機もあって、なかなかの役者揃いだ。

そう、染め付けの大きな火鉢が置かれていた。冬に蓋をしているので今は使われていないのかも知れないけど、何処か地方銭湯の趣があるのは陸の孤島的な立地と火鉢を使っていたようなところから来るのかも知れない。

浴室の広さは幅3間、奥行4間ほど。天井は2段型。島カランはプレーンなものが1つで、カラン数はセンターから6・6・6・6。 浴槽は奥壁に沿って深浅2槽。かなり補修跡があって古いタイルが残っている。

浅槽は通常よりもやや浅いバイブラバスで湯温は42度くらい。深槽はハップ湯。縦に2人入ると普通3人目は入ってこないけど、同湯の相客は3人目が手前に横に入ってくる。人気があるハップ湯槽における同湯の作法なのだろう、見ているとみなそうやって譲り合っている。あまり見ない光景だ。

ビジュアルは奥壁が、辻堂・不動湯のように”床の間”が設えられ、溶岩による岩山になっている。観葉植物の蔓が這い巡っている。

土曜日の16:30から17:10に滞在。相客は10数人は下らない感じだった。末枯れ系の今は珍しいややボロがかった銭湯にしては枯れていない客の入り。瓶入りのコーラを飲みながらにんまりしていた。

上がりの一杯は、梅島駅から直通で仲御徒町駅に出て、中華珍満に向かうが並んでいたので、「天丼まことや」へ。純米酒のお燗を飲みながら一番プレーンな天丼を頂く。昼はかつ重。夜は天丼。相変わらず丼物ばかり食べている。

天平食堂かつ重 insta
御徒町の天丼まことや insta

(注)「あだちの街と銭湯と(あだち銭湯文化普及会/平成30年8月)」によれば、同湯の創業は昭和10年となっております。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
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