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差出人: Masayuki Nakamura
送信日時: 2015年11月8日日曜日 8:36
宛先: 銭湯ML (sento-freak@freeml.com)
件名: 大和湯(中野区大和町)

ナカムラです。

今日(4/28)は、「大和湯(中野区大和町)」に行ってきました。高円寺駅(中央本線)から、1.1キロ、12分くらいです。

高円寺の北口を出て庶民的な「庚申通り商店街」を北上。中野区との境の早稲田通りを渡り、更にスズランの街灯が点る古い商店街「大和町中央通り親和会」を北上する。

高円寺界隈で戦災に遭ったのは駅周辺だけ。この辺りは空襲を受けず、道すがらには戦前築と思える建物がいくつか残っている。

さらに”民生食堂”の看板を掲げる「天平」という古い食堂が営業していた。アジフライ定食などがメニューにある普通の定食屋だけど、戦時中の外食券食堂の流れを汲む民生食堂に初めて遭遇した。しかし、何で過去の属性を主張しているんだろう。

さて、大和湯。地形が妙法寺川に向かう坂に変わる高台にある。創業80年程度という。戦火には遭っていないので、昭和22年の航空写真に黒瓦の大きな建物と高い煙突が写っている。

現在の建物は昭和52年築。共同住宅を併設しないコンクリ造陸屋根の浴場専用の建物。東京23区ではマンション銭湯ではない、このタイプは珍しいと思う。おまけに、同湯は法隆寺の夢殿のような、正六角形の特徴的な湯気抜きを屋根に載せている。

昨夏、薪焚きからガス焚きに替わった。坂の上で聳えていただろうコンクリ煙突は、ステンレスのささやかな都市ガス用の煙突に替わっている。

元は番台の銭湯。狭いながらも庭もあったというので、表の部分は増築だろうか。半分はコインランドリー、残りはエントランスとコンパクトなロビースペースに充てられている。

下足の錠はSakura-G錠のプラ板鍵。ロビーには相方が某女優に似ているという女将さんが詰めている。中野区の銭湯独特の低温サウナがある。他店同様に無料で使うことが出来るようだ。

脱衣所の広さは3間四方。天井高は2間程度。床は硬質のクッションフロア。天井や壁は素っ気ない白ペンキ塗り。およそ装飾とか潤いというものが無いなか、照明の半分が消されている。震災後、燃料も電気代も値上げが続いている。存続のための方策だとは理解できても、週末の解放感を満喫したい思いとは相容れないものがある。

島ロッカーはなく、ロッカーは松竹錠シリンダ式のものが外壁側と入口方壁にある。その他、ガムテープで補修されたベンチ、20インチくらいだろうか、台の上に無造作にAQUOSが載せられ、紐で繋がれたリモコンが置かれている。多少、殺伐としている。

浴室の広さは、幅3間、奥行4間ほど。天井は、高さ2間のプラ板張りのフラットなものに六角形の湯気抜き。島カランは1列で、カラン数はセンターから6・5・5・4。壁は中判の白を基調として、一部に都会のビルの風景をプリントしたタイルが使われている。床は淡いブルーの厚手の足触りがいい物が使われている。

浴槽は、奥壁に沿って木酢湯41度、バイブラ(非稼働)42度、7点座ジェット×1&スーパージェット×1で42度弱。井戸水を温めに沸かしたお湯は柔らかだ。

さらに、中野区銭湯の名物の”電気ストーブ”が熱源の低温サウナがある。時間をかければしっかりと汗が出るけど、忙しい生活銭湯派にはそぐわないらしく、利用客を見かけることが稀な不思議な設備だ。

ビジュアルは、奥壁に多少の縦縞があるくらいで特段のものはない。

上がりは、瓶入りのハニップCを頂く。2脚の椅子は女将さんの真ん前。自然と女将さんと話すことになる。窓が直ぐ近くにあって、入ってくる風が心地いい。今年の4月上中旬は寒い日が多かったけど、季節の移ろいを感じた。

金曜日の20:00から21:00に滞在。相客は7、8人ほど。屋号を記した表の行灯看板は勿論のこと、脱衣所、浴室ともに半分しか照明が点っていない。床のクッションフロアの冷たさとともに何処となく殺伐さを感じずにはいられなかった。

上がりの一杯は、高円寺駅前まで戻り「国道58号線」の標識を掲げる沖縄料理の”ごっぱち”。沖縄料理にコメントするほど詳しくないけど、なかなか美味しい料理が安く食べられる。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
URL: http://furoyanoentotsu.com(風呂屋の煙突)
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