差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2009年8月12日水曜日 23:18
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 柳湯(左京区新柳馬場通仁王門下ル菊鉾町)

ナカムラです。

今日(8/7)は、「柳湯(左京区新柳馬場通仁王門下ル菊鉾町)」に行ってきました。三条京阪駅(市営地下鉄東西線)から、0.2キロ、2分くらいです。

企業の第1四半期決算や月末・月初作業が重なるやや繁忙期だった今週の金曜日。仕事を終えて京都に向かう。建築家・村野藤吾の作品(ウェスティン都ホテル京都)を見るために蹴上のそのホテルに予約を入れ、その前に三条京阪駅近くの柳湯につかる。

今日は琵琶湖の浜大津で1万発を打ち上げるという花火大会があったようだ。浜大津まで繋がる三条京阪駅は混雑している。

関西の夏の暑さは、蒸して、格別の感がある。だから涼を求める風情が発達したのかも知れない。

昭和6年築の伝統的木造銭湯。天井が高い1階の脱衣所に2階を載せているため、四辻に柳湯は実に堂々と建っている。しかし、脱衣所裏の連子格子など繊細さも合わせ持つ優れた銭湯。絵柄が「打上げ花火」の暖簾が、ほのかな明かりに照らされた様は、癒し的な風景として比類ない。

番台裏には「謹告」から始まる営業案内が裸電球に照らされている。戸を開ければ番台とコンクリのたたき。番台と反対にはおしどり錠(真鍮)の下足箱。自家用の自転車なども引き入れられているようにたたきの広さも十分に取ってある。京都の風呂銭は410円のようだ。

脱衣所の広さは、幅2間半、奥行きは、各1間近くあるたたきの部分と緩衝スペースを入れて5間ほど。天井高さは2間弱くらいはある。建てられた80年近く前、庶民にとって、この空間は相当に大きな空間だったと思う。

床が籐敷きなのは京都銭湯のお約束。ロッカーはアルミ板鍵のKing錠が付いたオール木製ロッカー。京都ゆえ四角の脱衣籠を併せて収納する方法で使う。そして、旧型マッサージ機。漢字で「石田式」とあるアナログ体重計に初めて接する。

この脱衣所というか、柳湯の見所は、脱衣所と緩衝スペース仕切板と、浴室入口上部に広がる2幅のモザイクタイル絵だ。これらは昭和39年の中普請時に設置されたもので、絵柄は、海に灯台、近くの平安神宮を描いたもの。特に浴室の入口上部の平安神宮の絵は珍しい。一般的に風呂屋のビジュアルでご近所物を描くのは珍しいことだと思う。だから、京都の銭湯に「京都の風景」は少ない。

タイル張りの流しと小石タイルを張った緩衝スペースの向こうに浴室。今回入った2軒ともこの緩衝スペースに曲線を組み合わせた1段の階段があって、それを昇って浴室に向かうことになる。

浴室の広さは、幅2間半、奥行3間ほど。ブルーのペンキが塗られた天井はカマボコ型で、男女湯にまたがって、その中央横置きで長方形の湯気抜きがある。古くはないけど、床のタイルは八角形と正方形を組み合わせたレトロなデザインを使っている。

主浴槽は男女境に接するかたちで半円形の深浅2槽。中央に湯壷を担いだ女神の湯口がある。さらに、奥壁に接して岩の装飾を施した副浴槽。レトロな小石タイルを使った趣き深いものだ。

カランは外壁に7、奥壁に3。そしてカラン4機を有する円柱系の島カランが縦に2つ並んでいる。

湯温は浅槽が40度強、深槽が4度弱といったところ。夏の暑い日には丁度いいかも知れない。

そして、京都の銭湯に特徴的なのは水風呂。外壁側、脱衣所に食い込むかたちで4分の1の扇型の浴槽がある。1人用と小さいもののレトロな小石タイルが使われ、獅子口から水がドバドバと注がれている。井戸水をそのまま流し込んでいるのか温度も暑い夏に絶妙なもの。小さいながら、位置、形状、タイル、水。これらが高度にバランスしている極めて上質の水風呂だ。

浅槽のぬるめの湯と自然な温度の水風呂を何往復もする。サウナはないけど、同湯はこれでいいのかも知れない。

金曜日の23:00から23:45に滞在。仕舞いの時刻が近いのに、相客は6、7人もあって現役性が高い。レトロかつ実用的。京都銭湯を代表する感のある優れた銭湯だった。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
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京阪三条駅前の「伏見」。気になった。。。


隣湯の孫橋湯