差出人: Masayuki Nakamura
送信日時: 2014年11月30日日曜日 7:28
宛先: 銭湯ML (sento-freak@freeml.com)
件名: ゆーザ中井(新宿区中落合)

ナカムラです。

今日(8/15)は、「ゆーザ中井(新宿区中落合)」に行ってきました。中井駅(都営大江戸線等)から、0.3キロ、3分くらいです。

会社を早目に出て乗り換え駅で相方と合流。西武新宿線で新宿から3駅目の中井駅へ。

染めた布地を妙正寺川の水で晒すことが出来たため、関東大震災後に浅草などから移った染め物屋が集積した土地。今でもかなりの数の染色業者が残っている。

そんなことで古くから栄えていたのか、駅周辺は小さいながらもイニシエの風景が残っている。妙正寺川に架かる橋の親柱はアールデコ調。おそらく戦前の物。橋から新宿方面を見ると梅の湯の煙突のシルエットと、川畔にぽつんと1軒だけ点る赤提灯が見える。

梅の湯の煙突を眺めながら妙正寺川を渡ると同湯は直ぐだ。旧新高湯。出汁を取る鰹節の匂いを漂わせる手打ち蕎麦処「長寿庵」の隣、3階建ての瀟洒なマンションの1階。平成の初め頃だろうか、伝統的木造銭湯が建て替えられて今に至っている。

入口は何段か下りた半地下。アルミ板鍵の下足箱があるエントランスを過ぎれば、広いロビーと、その傍らにフロントがある。

入浴料にプラス200円位だったら、サウナにも入ろうと思った。しかし、何とサウナ込みの料金は1,000円を超えていた。なかなか強気の価格設定。短時間でちょっと使うには少々お高い。新宿区の銭湯だからなぁと諦める。

脱衣所は、幅4間、奥行2間ほどと横に長く、薄っぺらい形状。浴室側の壁を中心にSakura-3錠シリンダ式のロッカー。その他、デジタル体重計、フロア式の扇風機、自販機などが並ぶ。

自販機に新宿区にある28軒の銭湯がイラスト入りで描かれたポスターが貼られている。それぞれの銭湯の特徴が良く描き込まれ興味深い。新宿区は狭い区だけど、中野区と並んで東京では人口密度が最も高い行政区の1つ。改めて、そこそこの数の銭湯が残っていることを知る。

浴室は、幅4間、奥行3間ほどでやはり横長。天井はプラ板張りでさほどの高さはない。その空間の半分程度を、大きなサウナ室と浴槽とで占めている。

島カランは男女境から櫛形に2列突き出すかたちで、カラン数は奥壁から7・5・5・3・0・0。

浴槽とサウナ室は、浴室の左手にあたる外壁側に、手前にサウナ室、奥に実質1槽の浴槽が置かれている。大きな浴槽には、井戸水をガスで沸かしたものだろう、42度弱のお湯が満たされている。そして、バイブラ、7点座ジェット×2、ボディマッサージ、2点スーパージェットがバランスよく配置されている。壁にはテレビがはめ込まれてはいるものの音声が聞こえないのがイマイチだった。

3人位入ることができる水風呂は入口近く。蒸し暑いこの季節。湯船と水風呂との往復は何とも気持ちがいい。

7点座ジェットの名前は「セブンエステ」。初めて遭遇する洒落たネーミングだ。しかし、「7点座ジェット」だろうと座ってジェットの数を数えると、おやおや6つしかない。おかしいなと思いながら隣に移ると7つのジェットが稼働していてようやく納得する。

女湯には、隣の長寿庵の出汁を取る匂いが充満している石張りの外気浴風呂があるらしい。小生は無類の蕎麦好きなので、鰹節の出汁の匂いが充満した風呂も望む所だけど、尋常な人はそうでもないらしい。

上がってやや雑然かつ殺風景なロビーで座っていると、空気だけが送り込まれている殺風景な水槽に金魚が1匹だけ泳いでいた。夏祭りの金魚掬いだろうか、そんな感じがする。まだ残暑は厳しいけど、夏が終盤戦に差し掛かってきたことを感じる。

金曜日の19:50から20:40に滞在。相客は多数。ただ、新鋭銭湯が最盛期を過ぎ、やや曲がり角に差し掛かってきたという印象を受ける銭湯だった。

上がりの一杯は、都営の駅横の「朝日屋」という古くはないものの赤提灯に縄暖簾というようにイニシエを装った居酒屋。「外観に騙された」と捨て台詞を吐いて出て行く客と入れ違いになり身構えるものの、良くも悪くもまぁまぁ普通の居酒屋だったかな。



※落合道人 「草津温泉」は大繁盛していたか? [気になる下落合]

 ゆーザ中井は、「新高湯」からさらに遡れば佐伯祐三が描いた「草津湯」なのかも知れない。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
URL: http://furoyanoentotsu.com(風呂屋の煙突)
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                正面に梅の湯の煙突が見える









                       典型的な私鉄沿線の駅前という雰囲気がある




                               同湯の前辺り。隣は長寿庵。



















         妙正寺川・寺斉橋(大正末には既に架かっていたようだ)

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