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竜泉・有馬湯
 2016.05.08.







一宮市の玉ノ井湯を巡った際、隣の葛利毛織の工場建屋や社屋の整然とした美しさと、ションヘル織機という昔ながらの織機の音に惹かれた。そんな葛利毛織のスーツ地を求めて神田のテーラーに冬物のスーツをオーダーしに行く。しかし、イメージしていた服地は品切れが多く、新しい材料の入荷は8月下旬になるらしい。意を決して出かけたものの8月に改めて出直すことに。葛利との出会いを話したら、対応してくれた若い方が銭湯巡りにはまっているという。最近、若い人が銭湯を回っているなぁと感じている。どういう所に惹かれるのだろう。

浅草橋を散策し、三ノ輪経由で、大勝湯、弁天湯跡、改栄湯、日ノ出湯と近隣の銭湯に挨拶しながら有馬湯へ。コンクリート製の地味な外観ながら、浴舎が古い映画館のように”イモムシ”型の稀有な構造をしている銭湯。行ったことがある現存の東京銭湯の中で十傑(東京銭湯ナイト実行委員会)に 入ると思っている。

非戦災の戦前築の先代の建物は、現在のコンクリートの建物よりも90度左を向いていた。一方、昭和38年の航空写真には既に現在の建物が 写っている。昭和30年代に改築されたようだ。奥壁は青く塗り潰されペンキ絵はないものの、奥壁下部に章仙画による鯉の滝昇り&池に鯉のタイル絵、男女 境には塚本暁舟画と見られる花鳥風月のタイル絵があって、古風かつ見事 だ。双方とも幅3間半に近い、これらのタイル絵は戦前の建物から移設されたものという。

浴室の横に開放感のある広い庭池があって見事という他はない。庭石、植栽だけでなく、母屋の庇が檜皮葺きの茶室を模しているなど高度に 吟味されている。シャンパンゴールドのアルミの建具も木製の建具を再現すべく特注したものだと思う。木桶も年に1度くらい新品に入れ替えているのか、木が持つ本来の色をしている。ここらあたりにも銭湯としての矜持を感じる。人感センサーなのか、脱衣所が無人になると消灯する。一律に点灯を間引くのではなく節電する姿勢に驚かされるやら感心するやら。もちろん井戸水を沸かしたお湯も円やかでいい。 静かで風情ある優れた銭湯だった。

上がりの一杯は、同湯至近の”吉原土手”の桜鍋の「中江」。旧吉原遊廓門前にあって創業110余年の老舗。関東大震災直後に再建された築90年を越える有形登録文化財で営業している。ここで”馬力”を付けて吉原遊廓に乗り込んだという。

《前回訪問:2012:09.01.》























右側の塀は都電荒川線の三ノ輪橋電停。電停脇の風景。





都電荒川線・三ノ輪橋電停





王子電気軌道の本社ビルの1階通路の店舗街。
左側におばあさんがやっていた新聞・雑誌販売所があったけど、開いていなかった。





旧王子電気軌道本社ビル(梅沢写真館)










日光街道から旧王電本社の下の店舗街を抜け三ノ輪橋の電停に抜ける。











味噌味ながら「みの家」の桜鍋ほど味噌を押し出さない控えめな味だった。
馬刺しとしても食べられるという肉を赤色が残るミディアムな煮え具合で頂く。




いろは会商店街の前に立つ”あしたのジョー”
通勤途上に尾藤イサオが歌う主題歌を聴いて自分を奮い立たせていた時代がありました。




いろは会商店街。暗く気が付きませんでしたが、就寝されている方が写っています。
ここは地名はにない”山谷”。この商店街を抜けると丹下ジムがあった泪橋に出ます。