差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2004年8月28日土曜日 18:06
宛先: 銭湯ML
件名: 福徳湯(横浜市南区)

ナカムラです。

今日(8/27)は、「福徳湯(横浜市南区)」に行ってきました。
蒔田駅(横浜市営地下鉄)から、0.4キロ、8分くらいです。

章仙画の巨大タイル絵がある湯だった。
保存状況が悪くで少し、残念だったけど・・・。

最初は、駅そばの「福乃湯」に向かったけど、金曜日が定休日で休みだった。会社を出る時まで行き先を決めていないせいか、まま、こういうことがある。

この福乃湯は、旧来型の大型の銭湯。隣が月極めの駐車場なのに閉鎖されている。同湯は角地。駅から1分。隣の駐車場は、同湯の土地と一体でマンション開発するために、「廃業待機中」に見える。気になって入りにきたけど休み。大丈夫かなぁ・・・。

さて、福徳湯。
商店街の体はなしていないけど、「蒔田商店街」のアーチの近くにある。表通りから二筋入った通りで、何だか、時代遅れのスナック系が多い。

モルタル箱型のエントランス部。真中に「ゆ/ゆ」という暖簾が掛かっている。その字の下に、小さく「八幡平」と染め抜かれている。どういう由来があるのか。

暖簾をくぐると、正面に富士山と宝舟の章仙画のタイル絵。ここも、傘立てがあって良く見えない・・・。

下足箱の錠はおしどり。62番の札を取る。入口の床からしてピカピカ。清潔感が高い。自動ドアを通ると番台。親爺は番台に座らず、男湯側番台横に立っている。後で判ったけど、若い女性客も多い。気を遣っているようだ。

女湯の脱衣場は、番台から見えない入口脇が増築されている。これも配慮なのかな・・・。もちろん、番台から風呂場は見通せるはずだけど、着替えるところが恥ずかしいらしい。女心は判らん。

脱衣所は幅2間半、奥行4間。天井は大理石模様の光沢のある天板が張られている。床はエントランスの床と同様、ニスが塗られ、ピカピカに磨かれている。

外壁側にTOKYO錠のロッカー24個ほど。最下段が「MON」錠になっている。数個の脱衣籠も現役で使われている。さらに、男女境にシリンダ錠の新しいロッカー。

大黒柱はタイル巻き。残念ながら旧型の柱時計はなく、普通の丸型の時計が掛かっている。その下に大型のテレビが設置されている。

その他、TANAKAのアナログ体重計、鋲でクッションを張った旧型の木製ベンチ、冷蔵庫は旧型の2枚のガラス戸を開閉させるもの、等がある。蛍光灯が煌々と点っていて、明るく清潔感の高い脱衣所になっている。

浴室は、幅3間半、奥行4間半と大きい。自動ドアになっている。外壁側の脱衣所側が、敷地の関係でえぐれた構造になっている。天井は2段型で、高い天井が広く平らになっている。

タイルは、カラン周りがピンクの大理石模様のもの。その他も古いタイルは残されていない。

鏡のみの島カランが1列。カラン数は、センターから9(+立ちシャワー1)・8・6・7。カランは、日の丸扇の大砲型のもの。このカラン、機能的で構造もシンプルなのかも知れないけど、デザイン的にイマイチかな。実際、蒲田温泉や本牧湯の一部で使われたけど、あまり見ない。

浴槽は深浅2槽。浅槽が真中でパイプで仕切られていて、水枕付の座ジェット2機とバイブラになっている。外側の深槽が実母散湯。看板に「実母散温泉 福徳湯」とあったから、ここの売り物なんだろう。小生もこの実母散湯はいいと思っている。肌触りは無論、この香りは精神面の安息にも効果があると思う。

ここの売り物はビジュアル(だった?)。残念ながらだいぶ剥落しているけど、小生が遭遇した最大の旧来型のタイル絵。しかも、「章仙」の落款と「鈴榮堂」のクレジットが入っている。これらも、絵の大きさに比例して大きい。

男湯だけで、大きさ縦18枚横34枚。このタイル絵は、四角くなくて奥壁の形に合わせ一部がカーブしている。まさに、ペンキ絵の替わりに、章仙画のタイル絵がある。

絵柄は、瀧とその周辺に多くの紅葉が散りばめられている。その瀧の景色を登山者が眺めている図。ペンキ絵ではご法度となっている秋(空き)の図が描かれているのも珍しい。女湯は男湯より若干浴室の幅が広い。やはり奥壁一杯にタイル絵があり、朱塗りの橋が描かれていた。

しかし、なぜ、こんなに絵の具が薄くなっているのか。尋ねたら、掃除の時に塩酸を使ったとのこと。失敗だったと。確かに、章仙画の巨大タイル絵。あまりに惜しい。

そういった訳で、大きさで「幾久の湯(横浜市磯子区)」のタイル絵に勝るけど、総合ポイントでは大きく劣後してしまう。

上がりにはキリンの缶ビールを1本。テレビの音を聞きながら、置かれている新聞に眼を通す。

金曜日の22:30。外に出て建物をもう一度ゆっくり眺めていると、女湯に、彼と来た者、友達との二人連れ、もちろん一人で来る者が入って行く。なんか、珍しい光景だった。

横浜の下町に密着しているいい銭湯だった。