差出人: Masayuki Nakamura
送信日時: 2018年8月11日土曜日 10:57
宛先: 銭湯ML (sento-freak@freeml.com)
件名: 井川湯(横浜市神奈川区子安通)

ナカムラです。今日(7/29)は、井川湯(横浜市神奈川区子安通)に行ってきました。子安駅(京浜急行本線)から、0.4キロ、5分くらいです。

昨日は、東から西に進むという、珍しい台風が日本列島を横断し大変な1日だった。今日は普通の台風のように台風一過とはならず、今朝も結構な雨が降った。しかし、午後からは入道雲が沸き立つ夏空。そんな中、青木橋近くでの用事を終えて、久し振りに子安浜の井川湯へ。

横浜市には今でも2つの漁業協同組合が残っており、子安浜に、その1つ横浜東漁業協同組合がある。歴史を遡れば、徳川将軍家の台所へと鮮魚を献上した、御菜七ヶ浦の1つとしての由緒を持つ。ただ、昭和50年代前半に漁業権放棄による補償を受けて規模は大幅に縮小。今は沿岸で穴子などを取るに止まるようだ。いつ訪れてもひっそりとしている。

埋め立てられ海は遠くなった。ただ、入り組んだ細い路地、各所に井戸が残るなど、漁村としての風情が色濃く残っている。

井川湯は、浜通りから1筋奥に入った細い路地にあって、傍には井戸仲間が組織され今も清潔に維持されている井戸がある。明治29年創業。残存している横浜市の銭湯では中区の小山湯に次いで2番目に古い歴史を持っている。

不定休で、休日も週1回より多い。以前よりも営業日が少なくなっている。第2目的地を福助湯と定めていたものの、幸いに油井型の煙突から煙が立ち昇っていた。

のれんを潜れば狭い靴脱ぎに地元製の富士錠。めっきり神奈川の銭湯と縁遠くなり、富士錠を見るのも久し振りだ。

番台への扉を開ければ、番台に小生と同年代くらいのおばちゃんが座っている。四代目の女将さんだろうか。

狭い脱衣所からは狭い浴室が見える。16:00の開店時刻を30分くらい回った頃合い。一番風呂勢だろうか、数人の相客。驚いたことに二千数百の銭湯を巡っていらっしゃるS崎氏が入浴されている。確か、同湯とは親戚付き合いのようなものと、ずっと昔に伺ったことがある。

島カランがない小振りな空間に九谷の絵付けタイル絵が3幅。奥壁には中島さんの富士山のペンキ絵と池を泳ぐ鯉のタイル絵という正統かつ贅沢なラインナップ。

明るくゆったりとした空間で、のんびりと湯浴みを繰り返す。

京浜急行の子安駅からごく近い所に、漁港の風情とともに、漁村の銭湯がそのままの姿で営業を続けている。ここを訪れる度に、夢か、夢でなければ何たる奇跡かと感じ入る。そして、ここで湯に浸かることが出来る無情の喜びに浸る。

CALPISウォーターを飲みながらしばしS崎さんと話してから表に出る。氏と並んでの記念写真を求められた。ネットにはアップされていないものの、全国数多のS崎さん銭湯写真のラインナップは今貴重なものだろうと想像している。使っていらっしゃるカメラがフィルムであることに驚いた。小生、銭湯巡り2,3年目だっただろうか、2005年か2006年にデジタルに切り替え、以降、1度もフィルムを使っていない。

7月最終の日曜日の16:55から17:45に滞在。相客は6,7人。横浜の漁村に残る珠玉の銭湯。

《前回訪問:2010.08.29.》

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
URL: http://furoyanoentotsu.com(風呂屋の煙突)
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