差出人: Masayuki Nakamura
送信日時: 2018年5月27日日曜日 19:33
宛先: 銭湯ML (sento-freak@freeml.com)
件名: 松の湯(北区田端)

ナカムラです。今日(5/3)は、「松の湯(北区田端)」に行ってきました。駒込駅(山手線等)から、0.5キロ、5分くらいです。

相方の案内で荒川区のゆいの森あらかわ(図書館)に「あらかわ銭湯ウォッチング(1992年/荒川区広報/谷口英久)」というDVDの銭湯資料を借りに行った。吉村昭記念文学館が併設されていたり、企画展で荒川区の昔の写真が多数展示されていたりとなかなかの見応えだった。

ゆいの森あらかわは、荒川二丁目の電停近くで、かつて富士見湯があった場所と目と鼻の先。同湯の建物はもちろん向いの蕎麦屋蘇生庵なども廃業し、電停前の小さな商店街としての趣きも失われたようだ。

さて、都電の荒川二丁目電停から王子方面に出て、南北線の駒込駅へ。訪れると、谷田川の暗渠沿いに出来た田端銀座という古くからの大きな商店街にあった。ひときわ大きな「繁栄ビル」というビルの2階に入るビル銭湯。

航空写真を遡れば昭和11年の写真に銭湯の建物が確認出来る古豪。古い煙突だけが残っていたという昭和30年に富山県出身の初代がそれを買い受け、繁栄のピークだっただろう昭和47年に木造の銭湯を「繁栄ビル」に改築している。現在は75歳になる2代目と3代目が運営されている。

ビルの角にある階段で踊り場を2つ過ぎれば「浴場入口」と大書きされた入口。広くはないエントランスに松竹錠の下足箱が116番まで並んでいる。

ロビーはさほど広くはないものの、飲料やグッズが各種取り揃えられていて、やる気と現役感を感じる。相方が2人分の風呂銭を払い、小生がスタンプ帳を差し出す。

脱衣所は、一部フロント部が食込んでいるものの3間四方で天井が高い、広い空間。床は籐のパネル敷き。大型のマッサージ機、Tanakaのアナログ体重計、縁台、そして洗濯機が5台も並んでいる。丸屋(質店)、駒込ビレジ(クリーニング)、L&Wうえの(酒屋)のレトロな広告が眼を惹く。天井は模様の入ったレトロなクロス張り。

浴室は、幅3間、奥行3間半。フラットなプラ板張りの天井は高く、脱衣所との間には魚や海藻を描いたガラス絵が嵌っている。

島カランは2列で、カラン数はセンターから9・5・5・3・0・3。床のタイルはオフホワイトのユリ模様のもの。

浴槽は、奥壁から外壁に回り込むように、深槽(42度)、座ジェット×2、主浴槽(42度)、岩盤浴槽でヒルアロンサンの薬湯(42.5度)。

ビジュアルは、奥壁が日本の山の風景の真ん中に唐突に”シンデレラ城”を描いた絵付けのタイル絵。男女境には桜の季節の錦帯橋と近代的な吊り橋を描いた2幅の絵付けのタイル絵。

上がりの一杯は神戸居留地のパインサーダー100円。脱衣所で遊んでいた孫娘に話しかけられる。幼稚園は歩いて行くの?と問うと、お母さんの自転車かお父さんのトラックだと教えてくれた。トラックで幼稚園に行くのが銭湯的でいい。

5月3日の憲法記念日の18:30から19:30に滞在。最初の30分ほどは小生のみ。夜の商店街同様誰もいないのかと思っていたら数人の客が入って来た。女湯は終始相方1人だけだったという。空いている風呂は贅沢なもの。最近残っている風呂は混んでいることが多い。店の方には申し訳ないけど、何か久し振りな感覚で、とても心地よい快適さがあった。

4年半まで北区に4年ほど住んでいたものの全ての銭湯を訪れてはいなかった。図らずもこの松の湯で北区の銭湯を全て回ったことになる。

上がりの一杯は、道坂ときわ食堂という飲み屋食堂を考えていたけど、21:30閉店で少々慌ただしいので断念。山の手線で一二を争う地味な駒込駅前の養老乃瀧で一杯。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
URL: http://furoyanoentotsu.com(風呂屋の煙突)
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                       駒込駅前・さつき通り



      駒込駅。傾斜地にある駅。坂の上の改札口と、こちら坂下の改札口とは大きく雰囲気が異なる。


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