ナカムラです。

今日(3/21)は、「松の湯(足立区保木間)」に行ってきました。 竹の塚(東武伊勢崎線)から、1.8キロ、20分くらいです。

法事の帰路、歩いて行くことができる銭湯として竹の塚の松の湯を目指す。破風に狐格子があって、戦前の建物だと思い以前から気になっていた。実際は違ったけど。。。

それに足立区の花畑や島根といった辺りは、20数年前に営業で歩いたことのある所。しかし、天気はいいものの春の嵐で、眼を開けているのも辛いくらい。微かに記憶に残る風景とは違った印象だった。

さて、松の湯。国道4号線の立体交差の傍らにある。油井型の煙突を持つ昭和28年築の伝統的木造銭湯。狐格子に見えたのは狐格子風の簡素な造りだった。 古いエントランスを壊し、白いタイル張りのフロントとコインランドリーが入ったエントランスが増築されている。 中に入れば松竹錠の下足箱。開店から1時間ほど経った16:30。まだ店内に電気が点かない時間なので暗さを感じる。カウンターには、農家のおばあちゃんという雰囲気の大女将が詰めている。

現経営者は、戦災を潜り抜け、岩風呂とタイル絵で有名だった蔵前の梅の湯(改築/廃業)の預り湯を9年間やっていた。昭和35年に同湯の経営を引き継ぎ、オーナー経営者として独立している。

ちゃきちゃきの大女将は、東京大空襲で家族が全滅したという壮絶な経験を、明るく笑い飛ばすように話してくれた。目下の気懸かりは浴室の修理が滞っていること。建設業の作業員不足と労務費の高騰の影響が銭湯にまで及んでいるようだ。梁の修理の都合が付かずペンキの塗り直しができないと、何度も何度もこぼしていた。

蔵前の梅の湯から独立する時、資金の工面に時間が掛かったんだろう、「いい所はどんどん先に取られて、こんなドン詰まりまで来ちゃった」と笑っている。さらに、日光街道(国道4号線)の立体交差の昇り口に当たり、高い歩道橋が掛かったものの、向こうの竹の塚側からの客が減った。そんな不運を自嘲気味に語る。

脱衣所の広さは3間四方。フロント部分が食い込み、小さな前庭を潰して少しだけ増築されている。壁は木目プリントの新建材と天井とともに白いクロスが張られ、多少、それがくすんでいる。

ロッカーは、外壁側と男女境側に松竹錠のシリンダ式のもの。その他には、Hokutowのアナログ体重計、「故障」の張り紙がなされて久しい旧型のマッサージ機などがある。買った時はかなり高価だった旧型のマッサージチェア。その残像のせいか、故障してもそのまま脱衣所に置かれているケースが多い。椅子というだけならもっと簡素な物に置き換えればいいんだろうけど、それが出来ない。気持ちは分かる。。。

浴室の広さは、幅3間、奥行4間。天井は2段型で塗られたペンキは相当草臥れている。見て分からないけど、補修が必要なほどに梁も傷んでいるらしい。

島カランは1列で、カラン数はセンター側から5・6・6・5。タイルはカラン周りがサワーピンクのあっさりしたもの。床は4枚1組で角を丸くした正方形の模様が描かれた乳白色のタイル。とりたててビジュアルもない簡素というかやや殺風景な浴室だ。ただ、今日は陽光が差し込み、白い湯気が反射する光景は心安らぐ。

こんな浴室に、開店1時間を経たというのにピーク時には小生を含め13人もの客が入っている。足立区では、65才以上の人に100円で入浴できるチケットが配られているという。どうやら今週までの期限が迫っているから、週末に近い金曜日の今日が混んでいるらしい。

浴槽は奥壁に接して、7点座ジェット×2の深槽、バイブラの浅槽。そして無料で使えるスチームサウナがある。ガスで沸かした井戸&水道水のお湯はちょっと熱めの43.5度くらい。いいお湯だ。スチームサウナも独特の嫌な臭いがない。丁寧に清掃されていることが分かる。

春分の日の春の嵐の金曜日。16:30から17:30に滞在。ロビーでパックの明治牛乳を飲んでいるとテレビの周りにわさわさと人が集まり出した。遠藤という、髷も結えないほどのスピード出世の力士らしい。風呂屋で人だかりの大相撲観戦。人気力士の登場ゆえ、昭和の頃の懐かしい風景があった。

同湯は北緯35度47分58秒。ともすれば、埼玉県の植民地とも揶揄される清瀬市の伸光湯(北緯35度46分56秒)を僅かに押さえ、東京で最北の銭湯だと思う。梁を修理して浴室のペンキを塗り直す予定。もう少し頑張ってくれそうだ。




















                 足立区と埼玉県草加市との県境となっている利根川水系の支流の毛長川




     花畑四丁目。営業(採用活動)が嫌で、東武線で東武動物公園や、足利までも足を伸ばしてサボっていた。。。









                      荒川の鉄橋。小菅駅の半端ではない荒涼感じ思い出しながら。。。


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