差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2006年1月15日日曜日 19:27
宛先: 銭湯ML
件名: 松の湯(横須賀市安浦町)

ナカムラです。

今日(1/14)は、「松の湯(横須賀市安浦町)」に行ってきました。
県立大学駅(京浜急行)から0.1キロ。改札からも同湯が見渡せ、1分くらいです。

県立大学駅は、京浜急行で唯一、昭和5年の旧湘南電気鉄道開業時からの貴重な駅舎が残っていた。驚いたことに、改築されている。

2年前には、「京急安浦」から現在の駅名に改称。安浦は、横須賀最大の女性街だったけど、名称だけでなく、貴重な駅舎まで抹殺してしまう。海沿いの埋立地の開発が進み、手狭になったのは理解できる。しかし、それ以外の意図的なものを感じてしまう。かつて、東武鉄道でも「玉の井駅」を「東向島駅」に改称している・・・。
向かいの佐野医院も廃業。このレトロな建物も余命いくばくかなんだろう。

駅から近い銭湯だから、雨にもかかわらずやってきた。しかし、三浦半島は大雨洪水警報に変った。横須賀も凄い雨。100メートル歩いて、同湯の外観の写真を何枚か撮っただけで、どぼ濡れになる。

旧赤線内には、「日の出湯」というレトロな銭湯がある。同湯も旧赤線に近いし、駅からその地域にへ向かう客は必ず通ったはず。きっと艶やかな歴史を持つのだろう。同湯のある四辻近くには、理髪店や古いラーメン屋という、脇役も揃っている。

同湯は、規模は小さいものの3階建てのビル銭湯。2階が経営者の居宅で、3階がアパートになっているようだ。入口は、自動ドアではなく、観音開きの硝子戸。入っての印象は、外観よりもかなり狭いというもの。小さな靴脱ぎスペースに、傘立て、松竹錠の下足箱が詰め込まれている。

左へ進むと幅1間幅でフロントスペース。飲料が詰まった縦型のケースが2つもあって、さらにアイスクリームのケース。身長計や、新型マッサージ機等もあって、ごちゃごちゃと雑然としている。脱衣所だけでなく、フロントの棚にまで常連桶が並んでいるのは、初めての遭遇かも知れない。飲料の在庫の多さといい、案外、客が多い店なのかも知れない。

面白いものがある。マッサージ機の横の壁に、「マッサージをしている人に触らないで下さい。」との貼り紙。狭いから、休憩スペースに近接しているけど、気持ちよくマッサージ機に座っている人の邪魔するのかぁ・・・。

脱衣所は、2間四方。横須賀的な小さな脱衣所。床は籐敷きで、入口方に松竹シリンダ錠のロッカー。脱衣籠も5個ほどあって、フル稼働中。

その他に、古そうな小さな木製ベンチ、Yamatoのアナログ体重計、据置型と壁設置型の扇風機がある。小さな常連桶の棚があるけど、やはり、ぎっしりと桶が詰まっている。

小さいながら、なんか居心地がいい脱衣所だ。そう、小さなカゴに、子供用の玩具が積まれている。三国の滝の湯以来の遭遇。いい光景だど思う。

浴室は、幅2間、奥行3間。天井高も、ビル銭なので、1と1/4間と高くない。小さな浴室に湯気がもうもうとしている。センター側がほぼ浴槽、外壁側に15個のカランが並んでいる。浴室は狭いけど、浴槽の大きさは、大胆だ。

浴槽は、奥側が2人用程度で薬湯。「生薬タイプ」という実母散のような香りのするもの。手前が2穴ジェットのみの浴槽で、広さと浅さが特徴的。浴槽は広いけど、湯量を抑えるために浅くしているのか・・・。

カラン台、浴槽の縁、浴室の入口部分に、厚手の白い大理石が使われている。ビジュアルがない、壁も床も白タイル一色の浴室だけど、この大理石がいいアクセントになっている。

上がりは、250mlの小さなキリンラガー。スパードライもあったけど、レギュラーサイズはなかった。同湯のポリシーなんだろう。

久し振りに、旧赤線地域を歩いて、バスで大滝町へ。
今年初めてのラーメン・つたや。カウンターと4人掛け1テーブルだけの居酒屋兼ラーメン屋。

芋焼酎のお湯割りと、野菜炒めの大盛り、チャーシューの葱和え、そしてラーメン。1500円。今日で、横須賀の銭湯に全部入ったことは言わなかった。ここで絶品のラーメンを50年作り続けてきたキョウコさんに、足が遠のくと思われたくなかった。

バスで横須賀駅へ。大雨の影響で、横須賀線は運休や遅れがあり、海際の寒いホームで凍える。さらに、酔ってはいなかったけどバスに雨傘を忘れ、戸塚駅からは、再びひとしきり濡れてしまう。


旧佐野医院

丸窓には、ウサギが餅を搗くステンドグラスがある。
どうしても、赤線の街と結びつけて考えてしまう。

旧赤線地域内にある日の出湯

改築された県立大学駅