差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2006年5月20日土曜日 8:48
宛先: 銭湯ML
件名:

ナカムラです。

今日(5/12)は、「美和乃湯(川崎市川崎区渡田)」に行ってきました。
川崎新町駅(JR南武浜川崎支線)から、0.5キロ、6分くらいです。

JR南武浜川崎支線は、尻手駅から浜川崎駅までの途中駅2駅のローカル線。比較的近年まで、戦前製のチョコレート色の電車が残っていたりと、都会にあっては稀有な風景が残っている。特に、今日は雨降り。駅には鄙びたいい雰囲気がある。ただ、メインは貨物線で、傍らをコンテナ車が疾駆して行く。

そういった訳で、近いものの、何回か乗り換えてやっと到着する。
目的は、「川崎の銭湯マップ」の「川崎区1」に掲載の15銭湯のうち「御幸湯(川崎区浅田)」とともに残っている「番台」のある銭湯である「緑湯(川崎区小田)」に赴くこと。

しかし、日枝神社の傍らにある同湯は休業していた。一人暮らしのご主人がご病気で手術を受けたらしい。丁度2年前、神社の祭礼の際にやって来たけど、その際は定休日だった。
気になっているレトロ銭湯、緑湯。ご主人が快癒し、再び煙突から煙が上がることを祈りたい。

さて、目的地を「美和乃湯」へ変更。金曜日なのでサウナでゆっくり汗を流したい。
川崎市、平坦な住宅地が続き、道がまっすぐでわかりやすい。程なくして到着・・・。

フロントの増築部が中心にあるものの、旧来の黒瓦千鳥破風の見事な入口棟が残されている。
三角の妻面には、「美和乃湯」と墨書体の流麗な文字があって、照明に浮んでいる。奥に煙突のシルエットがぼんやりとしている。暗くてよく判らないけど、油井型の煙突のよう。

入口は向かって左側にあって、松竹錠の傘を立てて収納するロッカー式の傘入れ。下足箱の錠も松竹。「51」番の木札を取る。

自動ドアを通るとフロント。絨毯式のそこそこ広いスペースがあって、大型テレビが点いている。飲料やグッズも豊富に並んでいる。変ったものとしては、カレー味のカップヌードルがショーケースの中に沢山並んでいる。それに、缶ビールの取っ手部が大量のプラスチックのケースに入れて積んで(飾って?)ある。

400円に、サウナ代200円。松竹シリンダ錠の鍵と、大小タオル、1人用のサウナの敷物まで渡される。サウナの敷物を手渡されたのは初めての経験だ。同湯はフロントのソファにもサウナの敷物が敷かれている。サウナの敷物が好きらしい・・・。

脱衣所は、元は幅3間、奥行3間のスペース。しかし、浴室側はサウナ室と水風呂に、フロント側はフロントにスペースを蚕食され、不整形でやや狭いスペースになっている。

壁は白く、壁はオレンジ色がかったベージュ色に塗られている。大黒柱は、大袈裟に言えば、南欧風の石張りを模している。男女境は、解放可能な蛇腹式の木製の壁になっている。男女合わせて何か使うことがあるのかも知れない。

ロッカーは松竹のシリンダ錠。脱衣籠も現役で使用されている。その他、冷水機、Yamatoのデジタル体重計、ビールも入っている自販機がある。

21:30現在の相客は3人。みんな、背中に巨大な彫り物を入れている。彼らも1日のシノギを終えて、寛いでいるんだろう。入口脇の冷水機近くの椅子で涼んでいる方の前を手礼を切って、通してもらう。生活の場だからだろう、現役のどこぞの組みの方なんだろうけど、みな礼儀正しい。これは、どこの銭湯でも共通することだ。

浴室は、幅3間、奥行4間。天井はウィング1間半幅の2段型。白とブルーのペンキで塗られている。

島カランは1列で、カラン数はセンターから6・5・5・6。カランは日の丸扇の刻印のある取っ手が茶色のもので、全てにシャワーが付いている。

タイル類は全て更新だれていて古いものはない。床は白の模様タイル、側面も白を基調として微かに模様が入ったもの。奥壁はブルーを基調としたもので、何枚か組み合わせて、新しいタイプの絵がプリントされている。

浴槽は、深槽が7点座ジェット×2で湯温は41.5度くらい。主浴槽はバイブラで外壁側が電気風呂になっている。湯温はやはり41.5度くらいとやや低目の温度に設定されている。

さらに、外壁の外に幅2/3間、奥行1.5間ほどという無理やり造った森林浴泉という石張りの外気浴層がある。上部の竹垣風の上は、元は屋根がなかったのかも知れない。今はプラスチックの波板で不細工に塞がれている。外は一時的な豪雨。今日はこれでいいのかも知れない。しかし、湯温が30度台前半という位に、極端に低い。後からやってきた、妻夫木聡風に尋ねるが、いつもは「冷たくない」とのことだった。

脱衣所側のサウナ室は、5人用くらいか。脱衣所から持ち込まれたんだろうコミック本が2冊ほど放置されている。その1冊を読みながら、水風呂を3往復。そういえば、コミック本を読むのは、久里浜の梅の湯で常連客がそうしていたので真似して以来かな。和風料理屋物、キャバクラの舞台裏物、法医学物、竿師物、そんな漫画を久し振りに読む。

上がりは、脱衣所の自販機でスーパードライ250円。他にもキリンブランドが2種類。もちろん、そっちの方が多いけど、ジュース類もいくつか入っている。

17年前にリニューアルしたらしい。築年数について女将は良く知らないようだった。1日にドラム缶8分目くらい使うA重油の価格が、7万円/本から14万円にまで急騰して大変だと言っていた。大型の銭湯が使う油の量がドラム缶1本に近いのにも驚いたけど、価格が倍というのも辛いと察する。最近、富に銭湯の廃業スペースが加速しているけど、赤字になったあるいは赤字幅が拡大したという銭湯も多いからだろう。

なんとはない銭湯だけど、居心地は悪くなかった。
帰りは、直ぐ近くの「渡田向町」のバス停から鶴見臨港バスで川崎に出る。電車の乗り継ぎ&徒歩と比べ、数分で川崎駅に着いた。




渡田は、慶安年間(1648頃)の文献に初めて見える、古い地名である。ここが新田義貞の御家人であった亘新左衛門の領地であったことから亘田村とよばれるようになったらしい。これがいつか渡の字に転じたといわれる。明治22年(1888)に田島村が誕生した際に大字となり、その後地域変更や住居表示などにより現在の町域となる。

渡田新田は、もとは渡田の一部で、新町耕地とよばれていた地域である。新町の由来は不明。昭和11年(1936)に渡田から独立、今の名になり、その後住居表示で町域を変更した。


川崎新町駅。高校生が楽しげだった。

川崎新町駅