差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2006年2月26日日曜日 17:49
宛先: 銭湯ML
件名: 多賀良湯(川崎市幸区下平間)

ナカムラです。

今日(2/24)は、「多賀良湯(川崎市幸区下平間)」に行ってきました。
鹿島田駅(JR南武線)から、0.6キロ、6分くらいです。
予報では、夜からは雪になるとのことだったけど、雪にはなっていないものの、冷たい雨が降っている・・・。小さい傘なので辛いものがある。

同湯は、4車線の南武沿線道路と府中街道が複雑にクロスする交差点近くに位置している。恐らく、元々は府中街道に面して建てられ、後から同湯の正面に南武沿線道路が通ったのだろう。

昭和22年築の大振りの唐破風の入口を持つ伝統的木造銭湯。川崎付近では唐破風の入口はあまり見ないし、それ以上に、かなりの大きさの唐破風でもある。その横にはドライバーに見えるようにと多きな「超軟水風呂」の看板。入口の後方には、黒瓦の脱衣所棟と油井型の煙突が仄かに見える。

入口を入ると、すぐに独立フロントで、松竹のアルミの下足板鍵と傘立て板鍵とをフロントに渡す。入浴料400円とサウナ代が300円。黒の屋号が入った新しいオレンジのバスタオルとひっかけキーが渡される。

フロントの愛想がいいウメボシ婆さんが、小生を初めての客と観ると、サウナ室の位置や、ひっかけキーの使い方を丁寧に教えてくれる。丁寧で好感が持てるウメボシ婆さんだ。

脱衣所に向かおうとして驚いた。脱衣所は右に曲がって行くんだけど、左側にアーチ型の鏡があって、そこに右側の通路が映し出されている。あわや鏡に突進するところ。こんな経験は初めてだ。大人はともかくとして、子供は大丈夫かなと気になる。まぁ、小生がぼけっとしていただけかも知れないが・・・。

脱衣所の広さは3間四方。材はさほどの物ではないようだけど、天井は折上げ格天井になっている。しかし、壁はクロス張りに更新され、レトロな感じは残っていない。

ロッカーは外壁側と島ロッカーが1つで、松竹シリンダ錠のもの。しかし、外壁側のロッカーの後ろにに古いロッカーか常連用ロッカーがあって、「TOKYO」錠が付いている。

その他、デジタル式体重計、自動販売機、万能台がある。デジタルの体重計の下の木製の台が気になった。恐らく、以前は大型の重量のあるアナログ体重計が載っていた名残なのだろう。

脱衣所の入口方にはガラス戸があり、その外には幅1間ほどの縁側があって、丸テーブルと森永牛乳のベンチが置かれている。以前は池があり、その上に作られたようだ。喫煙所ということだろうけど、寒いせいか、男川崎の銭湯なのに、タバコを吸っている人は一人もいない。

浴室は幅3間、奥行4間の2段型。天井高さは3間以上ある。大型の銭湯だ。
御影石調のタイルが張られた島カランは1列で、カラン数は、センターから6・6・6・3。カランはWaguriの角型で取っ手がブルーのもの。センターのシャワーは、全てホースが付いているハンドシャワーになっている。

広いスペースがあるものの、島カランを敢えてセンター寄りに1つに抑え、浴室に通じる洗い場の中央スペースを広く取っている。床は10cm角の白とブルーのタイルで市松模様になっている。なかなかいい浴室だ。

同湯は「超軟水風呂」の看板を掲げている。確かに、石鹸の泡立ちは凄いものがあるけど、その浴感じはさほどではなく、「金春湯(中延)」「ピース湯(西大井)」のような、驚きを感じるツルツルさは無い。

椅子は普及椅子。桶は新昌化学工業所製の鼈甲模様の独特なもの。底にゴムが付いた珍しいものだ。

ビジュアルは無いけど、奥壁のタイルもよく見ると凹凸でデザイン的な模様が入っていたり、使われているタイルそれぞれに高級感を感じる。高級なタイルと呼応するように、天井や壁の上部の木製部分は丁寧にペンキで仕上げられている。調和が取れているし、なかなかいいものだ。

浴槽は奥壁から外壁側までL字型に伸びている。センターから、座ジェット×1、ボディマッサージ、バイブラ。コーナーに炊出し口があって、外壁側に電気風呂がある。外壁側のカラン3つを隔てて、2〜3人用の水風呂がある。

外壁の外はかつて庭があったのかも知れない。今は、幅1間のスペースに幅1間×奥行3間の露天風呂スペースとサウナ室に充てられている。

露天は薬湯になっている。雨なので生活銭湯系の人は誰も入って来ない。川崎の雨を浴びながらの露天も何だけど、上を見ると、渡されたワイヤーに番傘が2本付けられ、揺れている。雨降りだからだろう。今日来なければ知ることがないものだ。2本の傘だけだけど、雨を避けることができるし、風情もある。なかなかいいもてなしだと思う。

サウナは10人以上入れる大型のもの。誰も居ないので、腰にバスタオルを巻いて、ゴロンとしている。いつもだけど、金曜日の夜の解放感を感じる。温度はさほどではない。18度の水風呂との間を3往復くらいする。

上がりは、キリンの缶ビールが2種類とアサヒのスパードライ。
フロントのテレビはNHKの「ニュース10」。荒川静香の金メダル獲得の演技を繰り返し放映している。

子供の頃、ビールマンスピンを見て、その美しさにため息ついたけど、今回の演技もそれに通じる優美なものだと思う。荒川静香を応援していたけど、金メダルを獲るとは・・・。オリンピックの女子フィギアでは最年長の金メダルらしい。優美さや艶やかさもこの年齢だから出せるものなのかも知れない。

21:30から23:00まで滞在。混んでいるというほどではないけど、切れ目なしに客は入ってくる。いい銭湯だった。帰りは、鹿島田駅を通り過ぎて、新川崎駅(JR横須賀線)まで。同湯からは0.8キロくらい。週末のこの時間の横須賀線は意外に混んでいる。

《再訪(改築後):2008.01.20》



H17.12.17目白駅

H18.2.25目白駅
写真の下に横断幕が付けられていた。


下平間


鎌倉時代の「吾妻鏡」に平間郷として載っている古い地名である。

中原区の上平間を併せ一つの村であったようだが、いつしか上と下との2つの村に分かれたらしい。多摩川と加瀬山の中間に開けた平地であることから「平間」という地名ができたものと考えられる。

明治22年(1889)の御幸村誕生の際に大字下平間となり、現在にいたる。