タカラ湯（足立区千住元町）

差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2007年10月14日日曜日 11:42
宛先: 銭湯ＭＬ (sento-freak@kt.rim.or.jp)
件名: タカラ湯（足立区千住元町）

ナカムラです。

今日（10/13）は、「タカラ湯（足立区千住元町）」に行ってきました。北千住駅(ＪＲ常磐線ほか)から、１．７キロ、２０分くらいです。

先ず、イラストレーターなかだえり氏の個展会場《水彩画「大銭湯展」》の①梅の湯、②蔵アトリエ、③タカラ湯の繋ぎ歩き。途中で、キング・オブ・銭湯の「大黒湯」や千住遊廓跡なども。

千住遊廓は、学生時代に写真撮影で訪れて以来２０数年振り。当時は、現在よりも赤線跡の情報を得ることが難しかった。未熟ゆえに中核の建物を見逃しているし、入ったお好み焼き屋も不味かった。引いていた風邪をこじらせれ肺炎にもなった。あまりいい思い出がない・・・。そんなこんなでご無沙汰しているうちに、大半の遊廓建築が姿を消した。悔やまれる。

それにしても、北千住の銭湯群のレベルは凄い。。。

今日は、駅から遠く、会社帰りに寄るのは厳しい「タカラ湯」にする。

なかだえり氏がタカラ湯会場に詰めていたので、話をする。東京浴場組合の機関紙『１０１０』の表紙絵を４年間描いている。小生が、唯一定期購読する月刊誌「東京人」にも時折登場する。素朴なタッチの水彩画。絵には彼女の明るい性格と優しい視線が、万年筆で描かれた線とともに儚くも滲んでいる。

一気にファンになってしまった。彼女は建築家でもあって遊廓建築にも造詣が深い。小生のＨＰを参考にして横須賀の遊廓跡巡りをしたと伺って驚く。

そこに、何と、つかささん《「つかさの銭湯温泉サウナ王国」主宰》登場。「東京銭湯ナイト（新宿・ロフトプラスワン（10/10））」、「なかだえり水彩画/大銭湯展（10/6-10/14）」と銭湯の日を挟んだスペシャルウィークが続いている。

さて、タカラ湯。昭和２年創業で、現在の建物は昭和１３年築。まさに「寺社仏閣建築」。ダブル千鳥破風の見事な銭湯建築だ。さっき、「大黒湯」の巨大さに驚嘆したけど、ピーク時代の大晦日にはに３０００人もの客があったという同湯もまたデカイ。入口の宝船の飾り彫刻も秀逸だ。そして、庭の立派さでは、恐らく日本一だろうと言われている。

下足箱の錠は松竹板鍵のもの。男湯の前庭を潰して設置されたと思しきフロントは足ざわりのいい絨毯が敷かれ、シンプルで品良く清潔だ。今日は、フロントと縁側にかけて、「１０１０」の表紙を飾ってきた水彩画が揃い踏みしている。

フロントに４３０円を払って、５年ぶりに改訂された「東京銭湯　お遍路ＭＡＰ」の「巡礼スタンプノート」に、第１番のご朱印を頂戴する。有り難や。。。

脱衣所は、３間四方で天井は折り上げ格天井。材は更新されているのか、新しい上品な木目奇麗な材が使われている。外側は、脱衣所だけでなく浴室まで、「日本一」の庭園が延びる。壮観な光景だ。

ロッカーは松竹シリンダ錠のものが、島ロッカーと入口壁側にある。その他、家庭用扇風機、Ｋｅｉｈｏｋｕのアナログ体重計、デジタル体重計等。脱衣籠もいつくか積まれている。

浴室は、幅３間、奥行４間。天井は２段型で淡いピンク系のプラ板張り。さらに、奥の外壁側に２間四方のスペースが増設されている。増設スペースの天井は四角錐天井に正方形の湯気抜きと「ミニ関西銭湯」になっているのが目を引く。島カランは２列で、カラン数はセンターから、５・５・５・５・５・５。土曜日の１８：１０。浴室にいる客は２０数人で子供も多い。健全な「社会」がここにある。

浴槽は４槽。センターから、座ジェット×２、オリーブ薬湯の主浴槽バイブラで滝のような焚出し口、一部が電気になっている。湯温は４２度弱。増設スペースに、４３度程のじっこうの薬湯槽とぬる湯槽。女湯には無料サウナがあるらしい。

増設スペースには、タイル張りのベンチスペースがあって庭からの外気が流れ入ってくる。少しのぼせたのか、低学年だろう小学生が休んでいた。「立派な庭だね」、「うん」。小さな相客とはそんな話をする。

ビジュアルは奥壁に、新聞の４倍くらいの大きさのペンキ絵のシールが貼られている。中島師のもので富士山に砂浜という絵柄。中島師の絵で砂浜が描かれているのは少ない。久し振りに見る絵柄だ。

同湯は、千住柳町の遊廓からも１００メートルほどしか離れていない。もっと近い「金の湯」などもあるけど、同湯も千住遊廓の浴場機能を担ってきた歴史があるはずだ。ひょっとしたら、千住柳町遊廓に通った若き五木寛之も訪れたのかも知れない。下町の名湯だ。

上がりは、御主人松本康一氏振る舞いの「氷結」を飲みながら円卓を囲む。往時の足立区の銭湯は１５０軒強。現在は１／３になっているという。綾瀬組合には何軒か廃業のウェイティングサークルに入っている銭湯もあるらしい。

二次会は、なかだえり氏らが待つ同湯傍らの「竹寿司」へ。つかささんがライブへ向かった後、三次会は焼き鳥「遠山」へ。

自転車を押すなかだ氏に各方面から声がかかる。タカラ湯、竹寿司、遠山でのご主人や女将の彼女に対する視線はあくまでも優しい。第一は彼女の人柄なんだろうけど、これが「下町人情」なのかなとも感じる。

完全な飛び入りだったけど、かなり楽しい飲み歩きだった。

北千住に来た折は必ず電話するようにと、携帯の番号も教えてくれたので、また楽しい下町歩きをしたくなってきた。キング・オブ銭湯の「大黒湯」。蔵アトリエの隣の「梅の湯」。そして熱湯の「佐原浴場」。北千住には、まだ何回も来ることがあるだろう。

《タカラ湯のＨＰ》　～浴室の張り出しはオリジナルなのか？（タカラ湯の歴史参照）
《なかだえり氏のＨＰ》

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ナカムラ　（Masayuki Nakamura）
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URL: http://www7a.biglobe.ne.jp/~masayuki/ （風呂屋の煙突）
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見事な飾り彫刻がある。
水彩画「大銭湯展」第３会場の「梅の湯（昭和5年築）」		絵の作品性からして、メイン会場としては同湯がより相応しかったんだろうけど、いかんせん番台銭湯ゆえに、男女ともに入れるのはここまでだ。
水彩画「大銭湯展」第２会場の「蔵アトリエ」梅の湯と路地を隔ててすぐ隣り。築190年の小豆蔵らしい。		惚れぼれする空間がある。
	アトリエ	新しい銭湯ＭＡＰが積まれていた。

タカラ湯至近の「竹寿司」

焼き鳥の「遠山」満席だったけど、ご常連が席を譲ってくれる。
みな、彼女のお知り合い。