松島館(横浜市中区戸部) 2012.04.15.

差出人: Masayuki Nakamura <masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp>
送信日時: 2012年4月16日月曜日 22:55
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp 件名: 松島館(横浜市西区戸部)

ナカムラです。

今日(4/15)は、「松島館(横浜市西区戸部)」に行ってきました。 桜木町駅(根岸線)から、1.0キロ、12分くらいです。

横浜に買い物に出て、友人と三菱重工業の旧横浜造船所の船渠跡を見下ろすホテルの喫茶室で落ち 合い、いつもよりちょっと贅沢な”喫茶部”活動。同湯はみなとみらいから、直線距離で1キロと 離れていない。そんな戸部のレトロ系銭湯、松島館に向かう。

横浜の銭湯には”湯”ではなく”館”という屋号が多かったけど、今はだいぶ少なくなった。同湯 の創業は100年を超える。横浜の老舗中の老舗銭湯だ。

表のバス通りに「公衆浴場 松島館」という看板があって、建物は細い私道を1軒分入った所にあ る。

簡素な佇まいだ。戦後まだ材料が乏しかった頃、郷里から木材などを運び込んで建てられたという。 黒瓦を載せた切妻の平入り。やはり切妻屋根の入口部分が付く。

おしどり錠の下足箱に靴を入れて脱衣所に進めば、女将が奏でる哀愁のハーモニカが流れている(今 日はテープだった)。夜、ライブで流れる船頭小唄を聴いた時には咽び泣きたくなるほどの強い郷愁 を感じたものだ。

天井は押縁。小さな脱衣所。そして、古いけど綺麗で清潔。最も尊い姿で営業が続けられている。

横浜の下町の戸部の銭湯は、萬歳湯朝日湯を含め、いずれも湯は熱い。同湯も45度近い。燃料を 食うこともあって、最近はこれほどの熱いお湯は珍しくなってきた。浸かると身体は直ぐに真っ赤 になる。湯船から出ると血圧の急変からか軽く目眩がするほどだ。慣れない人は慎重に入る必要が ある。

浴室の奥壁には木板に直接描かれた丸山さんの「西伊豆(24.2.7.)」。描き替えられたばかりの絵な のに何年もそこにあったような雰囲気がある。幾重にもなるペンキで凸凹した木板に描かれている からだ。

みなとみらいに最も近い銭湯。 一見客の相方に、熱かったら無理せず埋めてと水を出しにきてくれたり、脱衣所に置かれた椅子を 持ってきてくれたりと、七尾の漁師町の出の女将さんはいろいろと世話を焼いてくれたようだ。番 台でしっかり見てくれていて、そこまでやってくれる銭湯は少なくなっている。

今日も、横浜の下町にある心に染み入る第一級の郷愁銭湯だった。

《前回訪問:2007.01.26.》

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
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岩亀稲荷神社
後方にすぐ横浜みなとみらいの高層ビルが見える