清水湯（大阪市中央区西心斎橋）

差出人: Masayuki Nakamura
送信日時: 2016年3月8日火曜日 21:13
宛先: 銭湯ＭＬ (sento-freak@freeml.com)
件名: 清水湯（大阪市中央区西心斎橋）

ナカムラです。

今日（8/28）は、「清水湯（大阪市中央区西心斎橋）」に行ってきました。心斎橋駅（市営地下鉄御堂筋線等）から、0.2キロ、3分くらいです。

心斎橋の繁華街。ヴォーリズの最大にして最高傑作で、建て替えが決まった大丸本店の真向かいに”風呂屋小路”と刻まれた石柱がある。そのビルの隙間を進んだ所に清水湯はある。今里の「松の湯」とともに、小樽・瀧の湯温泉（廃業）の系譜に連なっている銭湯だ。

大将は、昭和38年の17歳の時に小樽・瀧の湯温泉を出て内地に渡り、ここ心斎橋の銭湯を引継いだ。昭和61年の不幸な火災からの再興として、スーパー銭湯の走りと言ってもいい現在の清水湯をオープンしている。

1階はファミリーマート。元々は同湯の休憩所として使われていたらしい。その横、銭湯の入口としては広いビルの入口に、屋号を白く染め抜いた紺地の端正な暖簾がはためく。姿はビルに変わろうとも、老舗銭湯としての誇りと自信を感じる。

自動ドアを入ると、何と2階のフロントと脱衣所へはエスカレーターで昇る。エレベーターはたまに見かけるものの、電気代が嵩むエスカレーターは銭湯では見たことがない。建てられた時代がバブルの最盛期だったことと無縁ではないだろう。

エスカレーターを降りると、屋号が刻まれた多少拙い木彫りの篇額。小さな靴脱ぎ場の左右には、大きくはない下足箱が向かい合う。二代目だろうか、正面には細面のフロント氏が詰めている。朝風呂はさっと切り上げないと後で疲れるので、プラス240円のサウナはやめにする。

脱衣所は横に広く、幅4間半、奥行3間ほど。天井はさほど高くなく、櫛型に2列ロッカーが並ぶこともあって広々とした感じはないものの十分な余裕がある。ロッカーは、白いプラスチックの板鍵で、錠前には”TSURUKAME”と刻まれている。初めて遭遇するものだ。

その他、ベッド式のマッサージ機、自販機×3、床据置きの業務用空調×2など、大型銭湯ならではのラインナップ。

開店の6:00から30分位経った早朝ながら、黒門市場・末広湯、玉造・玉造温泉（廃業）で経験したような、早朝とも思えない活気がある。相客のうち夜勤明けは少数派だと思う。大阪は朝湯の文化があるのかな。

明るく広い浴室は3階にある。扇風機が取り付けられバスマットが敷かれたエレベーターで昇る。隣には狭く急な螺旋階段もある。

浴室は、幅3間、奥行6間。斜線規制か奥側がくの字に折れた全面硝子張りで、存分に朝の陽光を感じることが出来る。山型の天井の中央には、伝統的な形の湯気抜きが載っている。印象に残るとても明るい浴室だ。

カランは昇り口の階段室側に5、外壁側に6、奥の浴槽の前に3･3の島カランがある。

浴槽は、奥壁から外壁側に沿ってＬ字型に4槽が並ぶ。奥から、座ジェット×2、42度くらいの温湯槽、44度くらいの深槽、水風呂。そして、少し間隔を開け、乾式のサウナ室。さらに階段室の脇に小さなカプセル風呂のラドン湯もある。

特にビジュアルはないものの、湯気が立ち昇り、その中を朝日が差し込む、神々しい感じすらする浴室。朝の存分な明るさ。それだけで十分だった。

同湯は大阪市と規制の調整を図り銭湯のサービスの領域を広げ、今で言うスーパー銭湯の原型となったと言われている。”銭湯の新しい設備は大阪から始まる”と聞いたことがあるけど、同湯もそのトップランナーだったのは間違いない。

朝6:00からの営業。平日の朝6：30の時点で相客は軽く20人は超えている。盛り場で朝風呂からの通し営業。東京にこういった銭湯は無い。なかなか凄みすら感じさせられる銭湯だった。

吹雪の日に入りに行った、今は無き小樽・瀧の湯温泉。大将が大阪に出る前、若き日に改装を手がけている。それが骨格となっていたのか、地下1階と1階に浴室。さらに傾斜地の中2階がサウナ室と、同湯と同じように立体的なレイアウトだった。今里の松の湯にも行きたくなった。

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ナカムラ　（Masayuki Nakamura)
URL: http://furoyanoentotsu.com（風呂屋の煙突）
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カメラの背面は大丸心斎橋店。繁華街のど真ん中にある。”右へ百歩”で清水湯。

　　　　　2015年12月で建替えのめ営業を休止した大丸心斎橋店