銭湯巡礼行_目次NO.1

この３月末で廃業する熱海の共同浴場。月極の固定客の名札が１３枚だけ下がる。営業時間は３時間だけ。恐らく１日の客は２０人はいない。７０度の源泉を有するが、塩水の温泉の熱海では洗髪用に真水を沸かさなければならない。営業的にも厳しい。これが、朝まで享楽が絶えなかった熱海・渚の共同浴場の最後の姿。。。

昭和４年築創業の遊廓の銭湯。廓には風呂がなかったので２軒の銭湯がその機能を担っていた。柱にはガス燈が残っている。当時は石敷きの床で石の浴槽。壁はタイルではなく白いガラスが使われていた。かなり贅沢な風呂だったようだ。橋本を訪れるのは３度目。３度目の正直でいい銭湯に入ることができた。同湯も大将ひとりで孤軍奮闘。そのせいか何度かけても電話が通じなかった・・・。

大和郡山には、東岡町遊郭、洞泉町遊郭、箕山新地と３つの遊郭があった。町の経済も遊郭に依存していたため、禁止には反対の立場をとっていた。３階建ての大きな妓楼がいくつも残っている。洞泉寺は手入れされ、東岡町の方は空き家で廃墟になりつつある感じ。数年前まで営業していたという。

昭和４年築創業。ウッディ。完璧なレトロ空間がある。男女境のスポーツ用品店の電話番号は何と３桁。局番ではない。何と現存しているスポーツ用品店というのも驚いた。

洲本遊廓の地に建つ転業旅館の流れとおぼしきビジネスホテルに泊まって大正12年築創業の清水湯へ。ここも浴室の床や浴槽がカコウ岩での造り。上がり近くに潜水漁師軍団と一緒になった。女将さんは腰が悪い感じだったけど、元は幅跳びの全日本級の選手だった。洲本の銭湯は３軒。住栄湯は5月に廃業していた。

二見漁港の銭湯。ここも浴室はふんだんに「石」が使われている。たた、紋付袴の高校生風が番台だったり、ゆるい清掃関係もあって、かなりの異色派銭湯だった。上がりは酒屋の自販機でビールをいただいたあと、駅近くの「田村」という玉子焼き屋。赤い暖簾が気になって入ったら簡素なテーブルとパイプ椅子という３０年代の大衆食堂仕様。でも、親子二代明石焼き一筋７０年の老舗だった。２０個セット販売のみで８００円。灘の酒「白鶴」のコップ酒で頂いた。

高砂は、三菱重工と三菱製紙の町。製紙の町は独特の匂いがある。かつては堀割が町のまわりにあってその中に今も２軒の銭湯が残る。次郎助町には遊廓があった。
一番古い感じの常盤湯は２年程前に廃業していた。意中の銭湯は廓外の末広湯。床が御影石。実にいい銭湯だった。暖簾まで頂戴してしまった。感謝。今日、遊廓跡３ヶ所を探訪。既に銭湯にも入った。居酒屋に行きたいところだけど、二見漁港の扇湯へ。

飾磨の湛保と呼ばれる舟溜り。江戸時代に築かれた姫路港の発祥。駅からも遠く、何人にも聞いてようやくたどり着いたけど、遊郭の３軒有った遊郭の建物は、６年程前に消失していた。

日吉神社の参道沿いに大きな妓楼跡が３つ程残っていた。野里の商店街もレトロな建物が多く楽しい。「神戸銀行野里支店」という掲示板が残る銀行建築がお茶屋さんの店舗になっていた。神戸銀行が太陽神戸銀行（さくら銀行を経て三井住友銀行）となったのは35年も前だ。

相生市最後の一軒。造船で栄え、それが衰退した相生。そんな歴史の前からある相生港の漁協の裏にある。浴室は明治期の建物ゆえの煉瓦造。総てが心温まる銭湯だった。

倉敷駅から徒歩でアクセスできる３軒うちの１軒。いずれの銭湯もかなりレトロだ。今日は戎湯に入った。３年前に来た時は土曜日の定休だった。大正末期か昭和初期の建物だろうとのこと。かなりオリジナルな姿で残っている。
浴室の床が自然石。浴槽も花崗岩を組んでいる。水道水は重油で沸かしているけど、湯質はいい。３年前に倉敷の船五湯の大将に教えられた。湯は焚き物、入れ物で違うと。上がりは一杯色町の橘湯まで歩く。電話は不通になっていたけど建物はあった。そして同湯は今日月曜日が定休日だ。

遊廓は和風の建物が多く残っていた。ただ、あまりインパクトは無かったかな。それより、「通町」という商店街が凄かった。アーケードで全貌が見えないけど、戦前期の建物がずらり。和風じゃないのが比類ない。休息に衰退したので、建て替わらず化石となっている。
水門には三丁目の夕日ロケ地のプレート。西大寺や玉島。なかなか街歩きにはこたえられない町が岡山に多い。港湯は定休日だった。

潮待港の遊廓だった。ある妓楼の窓には外に鍵が取り付けられていた。遊女の逃亡阻止のためだ。過酷な現場だった。人をあやめる事件も有ったようだ。２階の角部屋には今も幽霊が出る。夏だけの話ではない。

府中最古の湯。東京ご出身の女将は詳らかに承知はしていないものの明治期の建物をそのまま使っているという。一日の客は男女３人だけ。それでも湯を沸かす。尊い。

昭和初期の洋風の建物。門を入ると屋敷神や手押しポンプの井戸がある。３年前に訪れた時は御主人が病気で休業中だった。尾道の銭湯には使っていない蒸し風呂があったりする。おそらく戦前に流行ったようだ。ぼんやりと湯につかっていたら柱の電球が灯った。熱い湯が注がれる合図という。訪れるべきいい銭湯だった。上がりは、三層の妓楼建築が残る歓楽街の久保町。土曜日、ホステスや酔客が右往左往している。

忠海最後の一軒。営業時間は16時からの1時間だけ。その日の男湯客は小生を含め2人。つまりまともな客は一人。それも、同湯に用事で来て只でよいからと勧められてついでにつかっていったという感じ。家族風呂と謙遜していたけど謙遜ではなかった。
上がりは尾道の居酒屋・「みち草」で休憩。ここに来るのも何回目か。いい魚が、とても安い。

再訪の朝代遊廓。旧さ和い楼が『さ和い』としてカフェになっていた。聞けば、楼主の四代目。遊廓の一族は美男美女が多い。店主もかなりの美人だった。コヒーも美味しい。数年前まで「さ和い楼」の向かいには銭湯があったという。

北陸の銭湯はビル銭湯が多く、ここはカケだったけど、大正末か昭和初期の建物はレトロ度が高いものだった。夜に始まる橋立の小さなセリを見る。そういえば、立入り禁止のせいもあるけど、セリを見たのは初めてかも知れない。

目次：都道府県別
目次：NO.797以降
矢部の湯日記

	実査日	最寄駅	線区	施設名称	一口コメント
796	2010.12.31.	練馬	西武新宿線	豊乃湯	今年の締め括りの湯は、練馬の古くて、かなり大型の銭湯。築50年は経過しているくらいの古い建物を大幅に改装している。設備はかなり草臥れている。。。客は多かったが、プラス200円のサウナを使う客は小生だけだった。
廃業銭湯	2010.12.31.	練馬	西武新宿線	旧徳田湯	「豊玉中二丁目」のバス停の横に廃業銭湯があるのが気になっていた。そしてその横の洋館風の廃屋も。。。
再訪	2010.12.26.	十条	埼京線	春日湯	十条で一番サイレントな銭湯だろう。しかし、ゆず湯の日には、3つの提灯が下がり「ゆ」「ず」「湯」とあったのには驚かされた。主浴槽には大きな岩が張られ滝が設えられている。これが稼働していればサイレントではないのだが。。。 ※前回訪問時画像。
再訪	2010.12.25.	辻堂	東海道本線	不動湯	大船・観音食堂で一杯やってから、1年振りになる辻堂・不動湯、鎌倉の寿司亭・和さび。不動湯は何ひとつ変っているところが無かった。観音食堂は入口の扉が更新され、店内は禁煙に変っていた。和さびも、相変わらず、東京や横浜にはない、鎌倉ならではの寿司屋だった。
銭湯外観	2010.12.25.	大船	東海道本線	常楽湯ひばり湯	常楽湯は相変わらず北鎌倉にひっそりとしていた。。。
795	2010.12.24.	戸田公園	埼京線	サン光湯	元は隣の敷地で銭湯を営業していたという古参。現在の建物は昭和34年築の油井戸型の煙突を持つ伝統的木造銭湯。無料の湿式サウナ、水風呂、露天風呂に実母散湯があるという優れた銭湯。惜しむらくは、ペンキ絵がないことか。
794	2010.12.22.	新板橋	都営三田線	ゆーらんど	創業は60余年。平成1年に改築して現在の姿になるまでは長寿湯という銭湯だったようだ。今日は冬至。ゆず湯を頂いた。
793	2010.12.19.	蕨	京浜東北線	いさみ湯	昭和38年築創業。この12/22の冬至の日に、40数回目のゆず湯をもって暖簾を畳む。井戸水を薪で沸かしたお湯。特段何の設備もないシンプルな銭湯ながら、寒い日に、湯気で満たされた浴室で暖まっているのはとても気持ちの良いものだった。
再訪	2010.12.18.	田端	山手線	仙石湯	来年の1月15日を以て閉店し、建物は介護施設に転用されるとの張り紙があった。富山県がスポンサーとなった「立山連峰」のペンキ絵がある4銭湯の中では最も早い廃業となる。同湯の立山は丸山清人画と味のある字で署名があった。昨年の6月に描かれたまだ古くはないものだった。
再訪	2010.12.17.	大塚	山手線	千代田湯	昭和25年築の伝統的木造銭湯。奥の壁には中島さんの富士さんのペンキ絵がある。道路から少し奥まった所に建物があってその間にはうず高く薪が積んである。井戸水を沸かしているのだろう、カランのお湯に微かに臭いが残っていた。金曜日の夜に相客が20人ほど。客の多さに驚かされた。
再訪	2010.12.4.	西日暮里	山手線	富来浴場	「富来」は石川県の地名で「とぎ」と読む。昭和32年築創業の伝統的木造銭湯。小判型のセンター浴槽や釜場へのタイルアーチの出入口など三河島の雲翠泉とほぼ同様。ペンキ絵は、平成十七年十一月十二日に描かれた早川師の「富士川」。女湯（伊豆海岸）にも富士山があるダブル富士。ただ、色合いはかなり異なったものだった。清潔で雰囲気のある優れたレトロ系の銭湯だ。
792	2010.11.28.	滝野川一丁目	都電荒川線	鶴の湯	戦前から続く滝野川の路地裏の銭湯。現在の建物は昭和39年築。プラス100円でサウナを使うことができる。ややぬる目の湯温。実母散系の薬湯。井戸水をガスで沸かした湯は柔らかい。普段使いのいい銭湯だった。
再訪	2010.11.27.	五反田	山手線	松の湯	2年前の6月以来の西五反田の松の湯。五反田駅からだと1.2キロくらい。前に訪れた時は番台だったけど、フロント式に変わっている。浅井戸からの地下水をブレンドし薪を焚く。木の湯桶を維持し、清掃は完璧に近い。ペンキ絵も毎年描き替える。大将は着流しだ・・・。伝統的な銭湯として、かなり完成形に近いと言える。
銭湯外観	2010.11.22.	遠野	釜石線	亀の湯　旧中小路町・花街　旧裏町・遊廓　便所町	遠野駅の裏。駅から煙突が見える。しかし、便所街と呼ばれる怪しげなスナック街を抜け、大廻りして釜石線の切り通しを橋で越えて行く必要がある。築80年くらいは経っている建物。妻面には大きな亀のオブジェがあって「乃湯」と続いている。どんな地震でも落ちたことがないという。
銭湯外観	2010.11.21.	大船渡線	大船渡	寿美の湯	大船渡市の最後の一軒。昭和38年築創業の平屋黒瓦の銭湯。定休日は月曜日。第三週だけは月曜日に替わって日曜日が休みになる。これを把握はしていたものの、記憶からは飛んでしまっていて訪れたのは第三日曜日だった。
廃業銭湯	2010.11.21.	釜石線	釜石	旧鶴の湯　旧沢村遊廓　呑兵衛横丁	旧沢村遊廓の入口にあったビル銭湯。まだ建物は使用されているものの、少し驚くくらいの荒廃した姿だった。2008年のタウンページには掲載されていた。いつ頃廃業したのだろうか。沢村遊廓は海から山に向かう傾斜地に広がっていたようだ。今は幸楼という料亭が一軒残っているだけだった。
廃業銭湯	2010.11.21.	宮古	山田線	旧不動園	昭和3年創業。先々代が経営する不動園が、伊藤祐治の小説「葱の花と馬」に『鬼灯園』として描かれたりした（昭6/中央公論入選作品）。現在の昭和32年築の建物はピンク色。「（霊泉）　不動園」とあったらしいが、前段の部分は風に吹き飛ばされ欠けていた。
銭湯外観	2010.11.21.	宮古	山田線	旭湯	昭和39年築創業。モルタルの簡素な造りの銭湯。広い駐車場がある。午後1時からの営業だった。
廃業銭湯	2010.11.21.	宮古	山田線	旧緑湯	宮古市魚菜市場の近く。まだ油井型の煙突他そのままの姿で残っていた。サイロのような曲線を持つ特徴あるファッサード。別棟のコインランドリーのみ営業。建物がかなり前後に傾いていたのは気のせい？
791	2010.11.21.	宮古	山田線	福島湯　宮古市魚菜市場	宮古駅にもっとも近い。駅を中心とした市街、だいぶ減ったとはいえ漁師町。たくさんの飲み屋に囲まれた一角にある。朝6:00からの朝湯に浸かる。絵柄は大したことはないけど、縦1間×横7間の巨大なモザイクタイル絵がある。
790	2010.11.20.	宮古	山田線	七滝湯　鍬ヶ崎遊廓	明治27年創業。現在の建物は昭和31年築の宮古最古参。旧鍬ヶ崎遊廓に最も近い湯でもある。営業時間を聞くために電話をしたらサンマ漁の船次第という回答が帰ってきた。サンマ漁の季節が終わり、2カ月ほど三陸沖で漁を行い、そして同湯に通った漁師たちは、置いていた桶とともに、今朝、北海道へ帰った。そんな、頃合いの静かな七滝湯。女将に教えてもらった居酒屋「無礼講」で、今日上がったサンマの刺身を頂いた。
銭湯外観	2010.11.20.	盛岡	東北本線	清川湯　八幡町・松尾町	盛岡駅から開運橋を渡って繁華街にアプローチする。その繁華街の入口のすぐ近くにある。後方にコンクリ煙突を持つかなり古い「清川ビル」の1階に入る銭湯。釜場の周りには薪が積まれていた。
再訪	2010.11.14.	要町	東京メトロ有楽町線	山の湯温泉	昭和32年築のレトロ銭湯。要町地区のどこからアプローチしてもなだらかな坂の上に、ひっそりとある。浴室真中の円形浴槽をオリジナルとする瓢箪型の浴槽。奥壁上部には丸山師の西伊豆のペンキ絵。大型のタイル絵が奥壁と男女境に２幅。湯治場風情があるいい銭湯だ。女湯のタイル絵は男湯とは違って、伝統的な章仙の手によるものらしい。。。
789	2010.11.13.	西荻窪	中央本線	天徳湯	昭和3年創業。現在の建物は昭和34年築。入口にある提灯の灯りが何とも言えない暖かい雰囲気を醸し出す。脱衣所はご主人が大ファンの長嶋茂雄ミュージアムの趣き。井戸水をガスで沸かしたお湯。シンプルな、いいレトロ銭湯だった。
788	2010.11.07.	王子	京浜東北線	豊島湯	北区豊島。赤いテントのアーケードが珍しい豊島中央商店街にある。昭和32年築の千鳥破風＆唐破風の伝統的木造銭湯。お湯は井戸水を薪で沸かしている。入口には虎の剥製があって驚かされた。そして、牙に靴べらが下げられている。。。
787	2010.11.06.	桶川	高崎線	梅の湯	中山道の宿場町だった桶川。最後の一軒。和風下見板張りの建物は大正末に建てられたもの。浅井戸の水＆水道水を重油で沸かしている。ペンキ絵は、行田・エハラ尚栄堂の先代が描いたもの。判読できないほどにボロボロになっている。先代は、広告代理店のように、描くだけでなく銭湯広告集めもやっていたようだ。
786	2010.11.05.	吉祥寺	中央本線	よろづ湯	男の劣情を満たす吉祥寺の悪場所の一角。向かいの店には若い娘が呼び込みに立っていた。同湯は大正時代の創業、現在は昭和39年築のモルタルの建物に替わっている。中島さんのペンキ絵が残る大型の銭湯。駅に近い繁華街ながら、昔ながらの浅井戸の水を重油で沸かしている。
785	2010.10.31.	蕨	京浜東北線	前川湯	昭和37年築創業の伝統的木造銭湯。入口を入ると福二画の大きな福助が迎えてくれる。脱衣所内部、浴室のタイル使いなどもオリジナルに近い姿で残っている。井戸水を薪で沸かしたお湯は柔らかい。ペンキ絵は中島さんが描いた富士山（平成10.6.29.）。少々草臥れてはいた。。。
784	2010.10.29.	東武練馬	東武東上線	ニコニコ湯	昭和26年築の伝統的木造銭湯。井戸水を薪と重油で沸かしている。浴槽のひとつとして足湯があるのが珍しい。ペンキ絵は「利尻」。早川さん、丸山さん、中島さんではない絵師のもの。穏やかな湾の奥に山々が描かれている。
783	2010.10.24.	鐘ヶ淵	東武伊勢崎線	田中湯	鐘ヶ淵駅至近、昭和27年築の伝統的木造銭湯。玉ノ井の女給も通った。創業が戦前に遡る古い銭湯だ。黒瓦の脱衣所とエントランス。石組の塀の基部に板塀がある。内側は檜皮が張ってあるなど、これほど簡素ながら豪勢な塀を見たことがない。ペンキ絵がないのが残念だけど、井戸水を薪で湧かしたお湯は柔らかい。
782	2010.10.22.	志村坂上	都営三田線	板橋前野原温泉・さやの湯	志村坂上にあるスーパー銭湯。源泉41度の温泉はまぁまぁだったけど、驚きは無かったかな。枯山水的な立派な庭があるので、昼間に行けばまた違った印象になるのかも知れない。
781	2010.10.17.	早稲田	都電荒川線	豊川浴泉	昭和24年築の伝統的木造銭湯。入口には鶴の籠手絵がある。男湯の庭はコインランドリーとなっているけど、女湯に残る庭の塀（内側）にはやはり鶴が描かれている。脱衣所にはレトロな照明器が残っている。井戸をガスで沸かした柔らかいお湯。奥壁のペンキ絵は今年8月に中島さんが描いた新しいペンキ絵。目白台の坂下にあるいい銭湯だった。
780	2010.10.16.	深谷	高崎線	中湯	昭和24年築の郷愁銭湯。脱衣所の屋根などは破けていたりする。夕食前の繁忙の時間に客は始終小生のみ。秋の陽はつるべ落とし。浴室に流れる秋風とともに、清澄極まりない薪焚きの湯を浴びる。何もない銭湯だけど時が満ちていた感じたした。
779	2010.10.15.	野方	西武新宿線	朝日湯	昭和11年創業。現在の建物は昭和30年代の改築だろうか、正八角形の湯気抜きがあるコンクリの浴場建物。「東京銭湯物語」に50年前の二代目、今の大将のいなせな姿がある。その大将が釜場から現れた。にこやかな大将に首に石鹸が付いていると教えられた。いい銭湯だった。
778	2010.10.11.	北浦和	京浜東北線	平和湯	北浦和駅至近の湯。創業は50年ほどの伝統的木造銭湯。コンクリ煙突は短く切られ、今は井戸と水道の水をガスで湧かしている。プラス100円で快適なスチームサウナ。ラドン温浴泉、水風呂などもある実用的ないい銭湯だった。
番外	2010.10.10.	新宿	山手線他	東京銭湯ナイトVol.6	10月10日は「銭湯の日」。東京の銭湯ではラベンダー湯が行われ、記念の品がもらえる日。そして、恒例となった、新宿・歌舞伎町「ロフトプラスワン」でのトークライブ。今回は観ているだけでなく、Vol3.の神奈川の銭湯に続き、「各地の郷愁銭湯」というタイトルで全国の19銭湯を紹介させて頂いた。。。
再訪	2010.10.08.	池袋	山手線	新栄湯	池袋駅至近の湯。こんな都会に、これぞ典型的なボロが・・・。相客もなかり汚れた御仁が多かった。しかし、清潔な浴室の男女境には三幅のタイル絵。奥壁には早川さんのペンキ絵（17.9.1和歌山瀞峡）。脱衣所も前に2回ほど訪れた時に比べて埃っぽさが無かった。「当浴場は水道水です」という表示がある。番台のご主人は着流し。老いてはいたが、隙がない、デキる感じがした。
777	2010.10.03.	行田市	秩父鉄道	中将湯	足袋で栄えた行田。城下町特有の細い路地に足袋蔵が散在する。そんな中にある中将湯は昭和43年築の伝統的木造銭湯。今もエハラ尚栄堂の亡き先代が描いた「天草」のペンキ絵が残る。女将は42、43度と言うけど、主浴槽は46度強。深槽は48度といった北関東名物の激熱の湯。当然、深槽に入る強者はいない。。。
廃業銭湯	2010.10.03.	行田市	秩父鉄道	旧柳の湯 ※上記の中将湯に画像掲載	ガラス戸の中に「釜・井戸の故障に付き閉店します」と張り紙が見えた。明治20年代の創業で田山花袋の「田舎教師」にも登場した銭湯だったようだ。そんな張り紙は2006.12.23.に掲出された。。。「家は行田町の大通から、昔の城址の方に行く横町にあった。角に柳の湯という湯屋があって、それと対して、綺麗な女中のいる料理屋の入口が見える（田山花袋『田舎教師』より）」